“棄権”負け比嘉は当日計量後に体調が急変。試合は中止にすべきだった?!
具志堅会長に、もう一度、その質問をぶつけた。 ――リングに上げたことを後悔していませんか? 「(動きがおかしいなら)2、3ラウンドですぐに止める予定でいたんです。本人にも、そう言った。僕にラウンド毎に『ダメならダメと伝えろ』と。でも、『1ラウンドから勝負する!』と倒しにいった。『がんばるだけ、がんばる』と」 こんなボクサーの体重超過を誰が責めることができようか。 1万1000人と発表された会場のファンは何度も「ダイゴ・コール」を送っていた。誰に責任があるかを一番知っていたのはボクシングファンの方だったのかもしれない。 今月17日には、沖縄県民栄誉賞の授与式が控えているが「辞退した方がいいんじゃないか。もらうのはおかしい」と県民栄誉賞を辞退する考えを具志堅会長は示した。 JBCは、体重超過に対しての処分を決定するが、1年間の国内の試合出場禁止という厳罰が科せられる可能性が極めて高い。比嘉が心身共に負ったダメージを回復させるには確かに時間は必要だが、それが1年となるとあまりに長い。 「今後? 何も考えていない。休ませて、JBCの処分も受け止めなくてはいけない。新しいチャレンジもある」。具志堅会長は、そう比嘉の気持ちを代弁した。 「今は何も(言葉が)出てこない。ごめんなさい」 比嘉は、やっとの思いで一言だけを搾り出して病院へ直行した。 本当の敗者は誰だったのだろう。 後味の悪さだけが残る悲しき変則タイトルマッチだった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)