FC岐阜はなぜラモス、川口、三都主を補強できたか
■大型補強「プロ意識を注入したい」 変わりたいというクラブの思いに賛同した新監督のラモス氏は、チームに変革を求めた。薫田社長も「今までとはまったく別のチームを作りたい」と、藤澤氏による潤沢な資金を背に、これまで手の出せなかった選手たちの大量獲得に踏み切った。 かくして加わったのが高年齢ながらも経験豊富な選手たちである。「存在感のあるチームになりたい。その強い思いから、思い切った補強をした。これまでのFC岐阜とはひと味もふた味も違った戦いぶりを披露できるのではないかと思っている」とは薫田社長の言葉。 彼らの獲得は、すべてラモス監督のオーダーでもあり、低迷し続けたチームにプロ意識を注入したいという意図が込められている。すべては岐阜県を盛り上げるため、“強くて魅力のあるチーム”に生まれ変わるためだ。「魅力あるチーム」という点で言えば、先述のとおり。マスコミやサポーターの数を見れば、サッカー熱の乏しい岐阜に、とてつもない“華”が、もたらされたと言える。その注目度は計り知れず、観客動員数は間違いなく伸びるだろう。 ただ、最後に1つ記しておきたい。それは、今回の監督や選手たちにかかった移籍金や年俸のすべてを、藤澤氏サイドに依存している背景についてである。「強いチーム」を作るための根本的問題はまだ解決はしていない。「強いチームを作るにはお金が必要」(薫田社長)という考え方だが、翻ってクラブだけではとても抱え切れない戦力を背負っている格好でもある。 ■課題は山積み 練習場も転々 岐阜はクラブハウスを持たず、練習場も日々転々としているクラブの一つ。現時点で「経常的な支援」をそれらの設立や整備、経費などに当てることはできず、プロクラブとしての土壌が脆弱なままであることは変わらない。積み上げや環境の観点で見れば、サッカー文化の根付いている海外のプロクラブとはやはり異なるケースである。 だからこそ、今回のチーム改革をきっかけにして「強いチーム」に変わらねばならない。例えば、結果が出れば、より多くの県民の関心を引き、クラブハウスの設立やサポーターの増加、J1ライセンスの取得など未来につながるかもしれない。