FC岐阜はなぜラモス、川口、三都主を補強できたか
とはいえ、様々な障害もあった。昨年の9月9日、債務超過を抱えていたクラブは地元財界との意見交換会を行い、計3億4000万円(債務超過分1億4000万円+チーム維持費1億円+強化費1億円)の追加支援を地元財界に要請している。J2残留を条件に14年の支援を受給できる方向で合意に至ったものの、当時、最下位であったクラブにとって残留はかなり厳しい条件だった。実のところ、2年連続で「クラブ消滅の危機」に直面していたわけだが、クラブ側はこの時点でくだんの話も知らない。のちに薫田大二郎社長は「まだ藤澤さんの話がないときの話」と明かしている。 ■藤澤氏と親交のあるラモス氏が新監督に浮上 薫田社長が初めて藤澤氏と会合したのは昨年12月のこと。その席でクラブの危機的現状を知った藤澤氏からは「とにかく足りない分は出します」と伝えられた。そして、岐阜が“強くて魅力のあるチームに生まれ変わらないといけない”という話の中で、資金援助するための条件のひとつとして、新監督候補に藤澤氏と親交があり、抜群の知名度を誇るラモス氏の名前が出たという。 薫田社長は、藤澤氏に頼ることを決める。ここで、チーム編成をする上での不足分を補填してもらう形とはいえ、まるで「打ち出の小槌」のような、藤澤氏による無期限の資金支援が事実上決まったのである。 ■過去の債務処理ではなく故郷を元気にすることが願い ただし、藤澤氏の願いはあくまで「故郷の岐阜を元気にしたい」というもの。支援が過去の債務に費やされることは藤澤氏の意図と反するため、クラブが資金援助を受けるには“1億4000万円の債務を地元財界で処理する”という条件をクリアする必要があった。結果的にJ2残留という条件を満たしながら、債務超過を地元側でクリアできなければ、クラブ存亡の危機に瀕する可能性もあった。 債務超過解消へのメドが立ったのは昨年の12月下旬である。クラブのメインバンクでもある十六銀行など「すべて藤澤さん任せではいけない」という地元財界の協力により、過去の“借金”は消え、藤澤氏から資金援助を受けることのできる条件をクリアした。