「セクハラ? 僕の記憶には無いですね!」今やっかいなのは「無自覚セクハラ・パワハラ上司」。気づいた頃には「四面楚歌」という地獄に
「唖然としましたよ。そんな、数年前の飲み会の話なんて、覚えていませんよ。だけど、相談してきた女性には、詳細な記憶と記録があるということでした。その女性の名前はもちろん僕には知らされません。 僕の担当領域の事業部には女性社員が少ないので、数名の女性の名前と顔が思い浮かびました。ただ、その飲み会をしたことすら思い出せなくて。取締役なんで、平日はほぼ毎日、会食や飲み会が入っているんですよ。 そして、信じられないことに、常務からはそれとなく『早期退職』を勧められたんですよ!」 小笠原さんは突然のことに、驚きと戸惑いで常務の前で硬直してしまったそうだ。 「今ならハラスメント講習も受けていますし、危なげなことはしていませんよ。ただ6年以上前と言われると定かじゃないというか、ハラスメントと取られてもおかしくない行動をしていたと思います。 ただ、それが許される世の中だったんですよね。だって、肩を抱き寄せるくらい、どの上司もやってたでしょ? もちろん激励の意味で、ですよ。」 帰宅後、妻に事の顛末を話した小笠原さん。当然、同情してくれると思っていたのに、妻が発したのは「やっぱりね」の一言だった。驚いた小笠原さんには、さらに妻からのカウンターパンチが飛んできたという。 【後編】ではこの辺りをさらに詳しく聞いていきたい。 取材・文/大分恵み