【このニュースって何?】G20が開かれる → 世界にはいくつグループがあるの?
新興国や途上国の集まりBRICSとグローバルサウス
G20にはG7の7カ国とEU、AUも入っていますが、12の新興国も入っています。世界の国を大きく三つに分けると、先進国と新興国と途上国に分けることができます。経済的、社会的な発展の度合いに応じて分けた呼び方で、もっとも発展している国が先進国、先進国に追いつく勢いで発展している国が新興国、まだ発展が立ち遅れている国が途上国です。 この新興国の中でも経済規模が大きかったり高い経済成長が見込まれたりする5カ国がBRICS(ブリックス)と呼ばれるグループになっています。ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)、南アフリカ共和国(S)です。この5カ国で世界の人口の約40%を占め、GDPも世界の30%近くを占めています。 そうした影響力を持つBRICSはG20とは別に、毎年首脳会議を開いています。今では5カ国に加え、アラブ首長国連邦(UAE)、イラン、エチオピア、エジプトも加盟し、9カ国に拡大した体制になっています。24年にロシアで開かれた首脳会議には計36カ国が参加し、インドネシアなど13カ国は加盟に準じるパートナー国の扱いになりました。 G20の中でG7にもBRICSにも加盟していない国が七つありますが、その中にもインドネシアやサウジアラビアのように高い経済成長率を示し、近未来に世界への影響力を強めることが予想される国が入っています。 このほか、最近よく使われるようになった世界の国をくくる新しい言葉があります。「グローバルサウス」です。厳密な定義はありませんが、新興国と途上国の総称とされています。 グローバルサウスは、先進国をノース(北)として、それ以外の国をサウス(南)とした呼び方です。南米やオセアニアやアフリカなどの南半球の国を指す言葉と思う人がいるかと思いますが、そうではありません。経済成長が鈍っている先進国に対し、新興国の経済成長は大きく、また途上国もその可能性を秘めています。これからの世界ではグローバルサウスの重みが増すことになりそうなため、注目される言葉になっています。 グローバルサウスの中心になっているのはインドです。モディ首相は23年に「グローバルサウスの声サミット」の初会合を開き、これまでに3度の会議を開いています。24年8月に開いたオンライン会議には100カ国以上の首脳らが参加し、モディ首相はグローバルサウスが団結する必要性を呼びかけました。 先進国側には、「先進国クラブ」と呼ばれる国際機関があります。経済協力開発機構(OECD)です。OECDには現在、日本を含め38カ国が加盟しています。豊かな先進国が大半で、1人当たり名目GDPが1万ドル(約150万円)に届かないのは南米のコロンビアだけです。もともと第2次世界大戦からのヨーロッパの復興を目的に発足したもので、今では主要な目的として途上国支援があります。そうした目的からも加盟国の多くが先進国となっているわけです。 このように世界には経済状況に応じたいくつもの国のグループがあります。ほかにも貿易や軍事などに限ったグループもたくさんあります。はっきり世界が分断されるようなグループ同士の激しい対立があれば、戦争の引き金にもなりかねません。ただ、多くの国が掛け持ちで参加するグループが入り組んだ形でいくつも存在するなら、利害は複雑になり、対話も可能で、逆に世界が平和を保つことにプラスになるのではないでしょうか。世界のほぼすべての国が参加している国際連合が十分に機能しない今、グループの役割は大きくなっていると感じます。
一色清 ジャーナリスト