JR大阪駅すぐの新シアターが「神じゃん!」、座席のスペックが高すぎると話題
2016年に閉館した劇場「シアターBRAVA!」の後継施設として、JR大阪駅に隣接する複合ビル「JPタワー大阪」(大阪市北区)内に誕生した「SkyシアターMBS」。観客や演者、裏方などから100以上の要望を集め、可能な限り反映させたという。特に座席にはさまざまなこだわりが詰め込まれており、さっそくネットには「神じゃん」「すごく見やすそう」と、期待の声が溢れている。 【写真】キャパは1300席、かなり「大規模」な客席全貌 取材・文/吉永美和子
◆ 観る人を「思いやりすぎた」結果・・・
目にやさしいグリーンを基調に、前の席の人の頭がかぶらないよう、千鳥格子状に配置された座席。パッと見たところ、背もたれもクッションもさほど大きくなく、なんだか薄くて硬そう・・・と思われるかもしれない。実際に座席自体は特別に広くはなく、肘掛けもやや細くて短めだ。しかしいざ座ってみると、特に腰から臀部にかけて包み込まれるような感じがあり、見た目以上に座り心地は良い。 この座席、座る部分を横から見ると、前方と後方で厚みが違うくさび型となっている。前方をあえて細身にしたのは、座席の下に荷物を入れやすくするためだ。座席前の通路に大きな荷物を置く人は多いが、これは通路を通る人の邪魔になるだけでなく、当人にとっても足元の可動域が狭くなるため、エコノミー症候群に近い状態になってしまう。観客の出入りをスムーズにするだけでなく、健康のことまで気づかって生まれた形なのだ。
◆ 座席横に入っている、謎の切込みの正体
またシートの形も真四角ではなく、前方がやや狭い台形型となっている。これもまた、観客が出入りしやすくなるための、もうひとつの工夫だ。着席中に人が通るときは、立ち上がるよりも足を横に傾ける人が多いだろうが、ここに切り込みを入れることで、人が通れるスペースが少しでも広くなる。前述した「肘掛けが短い」というのも、実はこのときに太ももが当たらないようにするための、細かい配慮だったわけだ。 そしてシートの後方は厚みがあって身体が沈むので、身体が微妙にリクライニング状態となる。既存の座席は、水平or前方に傾く体制になるものが多いのだが、これが実は時間とともにしんどくなる原因。観劇マニアの間では「シート前方にクッションを敷いて、前屈を防ぐ」というライフハックが存在するほどだ。 しかしこの座席なら、そんな手間は不要。背もたれも下部が膨らんでいる構造なので、前述のような「腰から臀部が包み込まれるような座り心地」を実現することができた。実際に観劇しないと結論は出ないが、おそらく劇場側が目指した「長時間座っても疲れない座席」になったはずだ。