歯磨きのあとに口をゆすいではいけない…毎日磨いているのにむし歯になる人がやっている「誤解だらけの習慣」
■「歯が弱い状態」で朝食をとることになってしまう ふだん歯の表面は、ペリクルで覆われています。ペリクルとは唾液によって生じるタンパク質の薄い膜で、酸で歯が溶けるのを抑制する働きがあります。歯磨きをすると、このペリクルが取れてしまいます。朝起きてすぐ歯を磨き、そのあと朝食をとると、ペリクルが落ちた状態で食事をすることになります。 その状態で酸味の強いものを食べたり飲んだりすると、酸で歯が溶ける酸蝕症になりやすいのです。ペリクルは歯磨きをしてから30分もすれば、再び歯の表面を覆います。歯磨き後、30分経ってから食事をするなら、酸蝕症のリスクはなくなります。そんなに待てないという場合は、朝起きてすぐの歯磨きはやめて、口の中をゆすぐ程度にしてください。それだけで口の中はスッキリします。 ゆすぐだけでは歯に付いたプラークは落ちませんが、朝起きた状態でそこまでこだわる必要はありません。食後の歯磨きで落とせば、十分です。そもそも口の中には、バイキンがつねにいます。どんなに歯磨きしても、ゼロにはなりません。バイキンと共存しながら、いかに効果的な口腔ケアをするかが重要なのです。 ---------- 【処方箋】 歯磨き後は30分あけてから食事する ---------- ---------- 前田 一義(まえだ・かずよし) 歯科医 1976年生まれ。日本歯周病学会認定医。2003年日本歯科大学を卒業。仁愛歯科クリニック副院長を経て、現在、医療法人社団康歯会 理事長、前田歯科医院 院長をつとめる。歯周病治療の第一人者・岡本浩氏、竹内泰子氏に師事。歯科世界最高峰であるスウェーデンのイエテボリ大学をはじめ、海外での研修を定期的に受講して最新の治療法を学び、世界標準の歯科治療に精通している。著書に『歯を磨いてもむし歯は防げない』(青春新書インテリジェンス)がある。 ----------
歯科医 前田 一義