だました側「断ったら家を燃やすと指示役に脅され...」一方でだまされた側「私がひっかかるわけないと甘く考えてた」深刻化する特殊詐欺『加害者・被害者が語る後悔』
「やめたい」と連絡すると「断ったりしたら家を燃やしに行く」
Aさんは、SNSを通じて身分証の画像などを送り応募したところ、仕事に使う書類が届いたという。 (Aさん)「自分の顔写真と○○警察署、生活安全課とか書いてあって、偽名として書いてあったのが、『竹内豊』って名前だったんですよ。(偽造された身分証をみて)さすがにまずいんじゃないかと」 これは闇バイトだと感じたAさん、「やっぱりやめたい」と連絡したところ、こう脅されたという。 (Aさん)「親の連絡先とか家もわかるから『もし君が断ったりしたら家を燃やしに行く』とか『親どうなってもいいの』とか。親がどうのこうのって言われたら、もう逃げられないという感じではありましたね」 Aさんの話から浮かび上がってきたのは、末端の受け子や出し子の弱みを握り、特殊詐欺に手を染めさせていくグループの歪な構造だった。 結局、自分に指示を出していた人物の名前や顔も分からないまま罪を犯してしまったAさん。服役中に使っていたノートには、反省や後悔の念がつづられている。 【服役中に使っていたノートより】 「本当に申し訳ない」 「忘れないで一生償う」 (Aさん)「取り返しのつかないことをやってしまって本当に申し訳ないという気持ちと、もっと周りに相談して落ち着いて行動すればよかったんじゃないかとはやっぱり思いますね」 一度足を踏み入れると抜け出すのが難しい特殊詐欺グループの実態。
被害者Bさん「もう魔法にかけられたみたいで」巧妙なだましの手口
一方、被害にあった高齢者は、巧妙なだましの手口についてこう話す。 「まさか自分がひっかかると思わずに。電話きたら遊んでやろうって思ってましたね。でも遊ばれました、すっかり」 兵庫県内に住む70代のBさん。今年5月、市役所の職員をかたる男から「医療費の還付金が受け取れる」と電話があった。男は「受け取りに必要な書類は銀行で作成できる」などと説明。すでに申請期限を超えているので急いで手続きをするようせかしてきたという。 (Bさん)「銀行に機械があるのですぐ来てくださいと。もう完全にスイッチが入ってまして、その人に操られるように行ってしまった」 Bさんが銀行に行くと今度は銀行の職員を名乗る別の男から電話があり、書類を作成するためにATMを使うよう指示されたという。Bさんは疑問を感じながらも、言われるがままにATMを操作し、計約150万円をだまし取られた。 (Bさん)「そこにあるのはATMなんだけど、これは市の機械なんだ。市の機械だから教えてもらわないと私は操作ができないんだというふうになって。本当にもう魔法にかけられたみたいで」