「ホワイト企業大賞」創設者が語る「社員の機嫌が良い」ホワイト企業に共通する3つのキーワード
いつも感動をいただくのだが、間違いなく本当にホワイトの道を歩まれている企業は、経営者自身が「心」に価値を重んじ、「心」を大切にした生き方をしている。 が、経営者がトップダウンで、「働きがい」や「幸せ」を管理し強要しているのではない。人間とはどういう仕組みなのかのヒューマンリテラシーを高め、ビジネスは人の営みであり、従業員の方々も同じ人間で同じ仕組みで動き、働き、生きているのだということを理解し、実践しているのだ。「人間の仕組み」を理解し、非認知的思考を育んでいる人は「機嫌がいい」だけでなく、その価値をまわりや大事な人ほど、強要ではなく、共有していくのだ。 ホワイト企業のカギは、経営者であることは間違いない。スポーツのチームであれば、監督やヘッドコーチが「心」に関心があるかどうかがキーになるのと同じだ。その影響は少なくないからだ。部であれば部長だ。 心の状態や心の価値を理解している人は、認知的な行動やルールのように強要できるものではないので、対話を通じて、トップダウンではなくコミュニケーションによって共有していく文化を大事にしている。インフラや仕組みやルールといった環境ではなく、対話を通じて共有していくことでできる文化を大切にしているのだ。 文化の醸成は「道」だ。個人の人生におけるあり方の醸成も同じように「道」だ。認知脳は効率や速さや便利さを望むので、このような「道」が明らかに苦手だ。もしかすると、100年続く会社が世界でも多いといわれる日本の働き手のあり方や企業文化の醸成や歩みが、これまで「道」として存在してきたのではないかと推察される。 が一方で、戦後に欧米の認知的な成果至上主義や効率化が導入され、以後は文明発展やGDPの向上が急速に実現して世界の先進国に仲間入りしたものの、日本人が本来得意な非認知的な「道」が忘れられて今現代にいたっているのではないだろうか。 手間はかかるがかかる分だけ、組織は醸成され、長く成長する会社へと歩んでいけるのだ。
辻 秀一