「ベッドで寝たの、いつが最後だっけ…」長男の夜泣きで眠れない日々。息子と私だけポツンと取り残されたような孤独感も【「よなきごや」著者インタビュー】
息子の夜泣きにつき合っていた期間は、私の人生で最高に眠っていない期間
――長男の夜泣きに苦労したとか。 かねもと 産院を退院して自宅に帰って来た日からとにかく寝ない子で、ベッドに置くと泣く、というのを繰り返していました。まだ男性が簡単に育休を取るような時代じゃなかったので、昼も夜も基本的には私がお世話をするしかなくて。深夜、寝ない息子を抱っこして、ひたすら部屋の中をうろうろし続けたんです。 息子と私だけポツンと取り残されたような気持ちになり、すごく、すごく孤独でした。部屋の暗さとか、シーンとした室内の感じとか、今でもありありと思い出せます。静かな室内で息子を泣かせちゃいけないと、とっても緊張していた日々だったことを覚えています。 ――深夜にずっと息子さんを抱っこしていたんですか。 かねもと 1人目の育児はわからないことだらけ。起きている赤ちゃんを、ベッドに1人で寝かせていいものなのかわからず、眠るまで抱っこしてなきゃいけないと思っていたんです。 昼は昼でベッドに寝かせていると、「うう」とか「ああ」とか声を出しているから、相手をしなくちゃいけないのかなって思って、また抱っこ。昼寝もほとんどしない子だったので、「私はいつ寝ればいいんですか?」って感じでした。すきがあれば寝るようにしていましたけど、本当に、あれほど睡眠時間が短い時期は、私のこれまでの人生でなかったです。 ――「よなきごや」の中で夜泣きに疲れ果てたママが、好きなバンドの曲を聞いてものれないし、ごはんがおいしく感じられない、という話がありました。当時のかねもとさんはどうでしたか。 かねもと 私はまんがやゲームが大好きなんですけど、上の子の産後はまんがを読みたい、ゲームをしたいっていう気持ちはゼロででした。友だちと飲みに行くのも大好きだったはずなのに、そんな時間があったら寝たいって思ってました。 まんがを読みたいっていう気持ちがやっと出てきたのは、息子を出産して2年くらいたってから。睡眠不足だけじゃなくて、初めての育児のプレッシャーも原因だったんだろうなと思います。 ――長男の夜泣きにつき合いながら、どんなことを考えていましたか。 かねもと 同じ時期に産院に入院していたママたちも、同じように赤ちゃんを抱っこしてうろうろしているのかな、眠くてふらふらなのに赤ちゃんが起きているから寝られないママもいるんだろうなって考えていました。 当時はまんが家になるのをあきらめていて、まんがを描いていなかったんですが、あとから思い起こすと、「よなきごや」が私の中で産声(うぶごえ)を上げたのは、このころなのかなと思います。 ――かねもとさんがひと晩ゆっくり眠れるようになったのは、長男がいくつくらいになってからですか。 かねもと 寝かしつけに母乳を飲ませなくなったころだから、1~2歳だったと思います。その後も夜中に寝ぼけて泣くことはありましたけど、一晩中寝なくて困る、みたいなことはなくなりました。でも夜まとまって寝るようになったら、朝5時に起きるようになっちゃって。私にとっては相当早い時間なので、それはそれで大変でした。