スマホやゲームがやめられない…ADHDの子どものために家庭でできる「ペアレンティング」とは?
困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる? イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。 ADHDの子どもの特性を理解して良い方向へ向かわせるには…? 今回は、ADHDの子どものために、家庭でできるペアレンティングを解説。
子どもが集中しやすい環境をつくる
ADHDの子どもは、机に向かっていても、壁に貼った地図や出しっぱなしのマンガ、本、おもちゃなど、目についたいろいろなものが気になってしまいます。 ゲーム機が目に入ると「あ、ゲームやりたい!」と、すぐにゲームをはじめてしまい、宿題のことはすっかり忘れてしまいます。 ほかの人が気にならないような音がADHDの子どもにとっては感覚刺激となって、集中をそらす原因になることもあります。 集中して机に向かうためには、余計なものを置かない、収納を工夫して目に触れさせないなど、環境を整える必要があります。
就寝・起床時間を守り、食事をしっかりとる
もう一つ大切なのが、規則正しい生活リズムを保つことです。 夜更かしをして睡眠不足になると、どんな人でも集中力を保つのが難しくなります。ADHDの子どもであればなおさらです。 就寝時間をきちんと決めて、決まった時間に起きる習慣をつけるようにしましょう。休日の前に夜更かしをしたり、休日にだらだら寝ていたりすると、生体リズムが乱れ、ADHDの特性にもよい影響を与えません。 また、食事の習慣もとても大切です。食事には、成長に必要な栄養を補うとともに、生活リズムをつくる役割もあります。 とくに朝ごはんはしっかり食べさせましょう。栄養が十分とれないと、不注意や衝動性、多動性といった特性が強く現れやすくなります。また、イライラするなど、感情のコントロールが難しくなることがあります。
スマホやゲームをやめないときは…
ADHDでは、集中が続きにくい一方で、好きなことには熱中する特性があります。なかでも多いのが、スマホやゲームをやめられないケース。生活リズムの乱れや依存症も心配です。 まずはスマホの使い方やゲームの時間について、ルールを決めておきましょう。親が一方的に決めず、必ず子どもといっしょに決めてください。いったんルールを決めたら、しっかり守らせます。守れないときは、約束どおり淡々とペナルティを与えます。 逆に子どもがルールを守ったときは、しっかりほめてあげましょう。子どもが希望すれば、トークンエコノミーをとりいれるのもよいでしょう。 ありがちなのが親のルール違反。「今回は大目に見るけど、次はダメだよ」では、次第にルールの意味が失われてしまいます。 ■「好きなこと」をやめられない特性がある 興味のあることや好きなことには集中して取り組むことができます。その分、自分自身で注意を切り替えるのは難しくなります。 ・自分の好きなことにのめり込む特性がある ・スマホやゲームをするときのルールがない ↓ GOOD)ペアレンティング ・はじめるタイミングと終了の時間をはっきり決める ・ルールが守れなかったときのルールも決めておく NG) ・スマホやゲームの使用を本人まかせにしている ・ルールがあってもきちんと守られていない
上手にやめさせるペアレンティング
スマホやゲームの終了時間をわかりやすくするといいでしょう。「タイマーが鳴ったら終わり」などの工夫で、親も時間を見過ごすことがなくなります。 子どもといっしょにルールを決める ・子どものアイデアを採用する ・子どもに選択させる ・「自分で決めた」という自覚がルールを守る動機づけになる 続きは<整理整頓や忘れ物は叱ってもムダ! ADHDの子どもの特性を理解して良い方向へ向かわせるには…?>で公開中。
榊原 洋一(お茶の水女子大学名誉教授)