「選手の情が感じられる競技は他にない」競輪への情熱溢れる“卒記チャンプ”森田一郎/未来の競輪スター候補
今年デビューする第125回生(男子)と第126回生(女子)の卒業式が8日、伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。その卒業式前日、忙しいスケジュールの合間を縫って4名の候補生たちが取材に応じてくれた。今回は125回生の卒業記念レースを制し、チャンピオンとして名を刻んだ森田一郎のインタビューをお届けする。(取材・構成 netkeirin編集部)
卒業記念レースは予選1回戦に手応え
ーー卒業記念レースは優勝おめでとうございます。シリーズを振り返ってみていかがでしょうか? 森田 ありがとうございます。優勝できたことは嬉しいですし、何より無事に終われたことにホッとしています。 ーー予選1回戦と2回戦、準決勝、決勝の4走で一番手応えのあったレースはどのレースでしたか? 森田 最初のレース、予選1回戦です。みんな前々に動いていて、僕も前々にいましたが、叩かれて叩かれて中団から後ろになってしまいました。そんな中でも、慌てずレースを見極めることができ、ホームから捲りに行けた部分は良かったと思います。第1コーナーで押し上げられたりもしたのですが、そこでも踏み直すことができました。デビュー後にも同じような場面はあると思うので、そういう意味で納得できるレースができたと思っています。 ーー状況判断といえば、優勝を決めた決勝レースのイン捲りも見事でした。 森田 たしかに開いたところを見逃さずに行けたところは自分の判断なので良い部分でもありますが、前が開く開かないというのはその場の運によるところも大きかったと思います。そこは納得感としてはあんまり、ですね。 ーー優勝を決めたレースの中にも課題があったのですね。 森田 はい。デビューした後を考えれば通用しない走りだったと振り返っています。 ーーなるほど。それでも優勝という結果を手繰り寄せ、125回生の卒記チャンプになりました。 森田 はい。レースを走ってみての課題はありましたが、優勝という結果はうれしく思っています。とても名誉なことだと感じています。 ーー改めておめでとうございます。それでは「卒業を前に思うこと」という趣旨の質問に移らせていただきます。入所時と現時点を比べて、成長できたポイントを教えてください。 森田 ひとつは鉄(フレーム)の進ませ方ですかね。高校・大学の7年間はカーボンに乗っていたので、感覚を学ぶことができました。言葉が合っているのかわからないのですが、カーボンは筋肉的な面が大きいというか、筋力がある人ほど進むって感じがあります。でも鉄はそうではなくて、ただ踏むだけでは進みませんでした。どう踏めば良いのかと考えながら乗る点はすごく成長できたと思います。 ーー養成所生活の中で印象に残った考え方に出会うことはありましたか。 森田 今の話と重なるんですが、「どうやって鉄の自転車を進ませるか」に向き合うにあたって、久米康徳先生に一番助言をいただきました。僕の走りを細かく知っていただいて、的確なアドバイスを受けることができ、とても参考になりました。