なぜ「西武」はここまで落ちぶれた? 松井監督でも渡辺GMでもなかった「諸悪の根源」とは
プロ野球が後半戦に突入した。7月31日現在、パ・リーグはソフトバンクが59勝を挙げ、2位に10ゲーム差をつけて首位を独走。“勝って当然”状態だが、逆に“負けて当然”になってしまっているのが最下位の西武である。 【写真をみる】笑ってる場合じゃない…ダメダメな西武の「諸悪の根源」とされる人物
既に62敗。年間100敗の大台も現実味が出てきた。勝率3割1分1厘は、目下首位打者のソフトバンク近藤の打率をも下回っている。
松井監督のせいにしたのは間違いだった
「5月26日に松井稼頭央監督が休養し、かつて日本一監督に輝いた渡辺久信GMが監督代行として指揮を執っているんですが……」 と語るスポーツ紙記者によると、 「休養時点の勝率は3割3分あったから、むしろ悪化している。松井監督のせいにしたのは間違いでした」 監督のせいでなければ、その上にいる立場、つまり戦えるだけのコマを集められなかった渡辺GMのせいだろうか。だが、 「渡辺GMも責められません。軍資金があまりに少ないんですから。今のままでは誰が監督でも誰がGMでも窮状は変わりませんよ」
とにかくカネを使わない“新体制”
では諸悪の根源は? 「頂点に君臨する後藤高志オーナー(75)でしょう」 みずほ銀行出身の後藤氏がオーナーに就任したのは、2007年。アマチュア選手に不適切な金銭を供与した問題で引責辞任した前任者の後を襲ったのだが、 「事件の反動もあって、後藤体制下の西武はとにかくカネを使わない。チームの屋台骨となるスター選手が育ってもカネがかかるので引き留めず、他球団に流出し続けています」 昨オフにソフトバンクに移籍して現在本塁打王の山川穂高をはじめ、楽天の浅村栄斗、オリックス・森友哉はいずれも元西武の強打者だ。投手陣も、渡米した菊池雄星のほか、中日・涌井秀章や楽天・岸孝之らエース級が次々と西武を去っている。22年にはメジャー出戻りの秋山翔吾を、カネをケチって広島に攫(さら)われた。 「松坂大輔や松井稼頭央の出戻り時も獲得に失敗。同じ貧乏球団の広島は、メジャーから黒田博樹、阪神から新井貴浩監督が戻ってきましたが、西武の選手は球団に愛着が持てないんです」 ファンも見限ったのか、今季の1試合平均入場者数は12球団最下位に陥った。 代わるべきは監督でもGMでもなく――。
「週刊新潮」2024年8月1日号 掲載
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