後方死角のクルマを音で警告! ヤマハが開発中の後方認知支援デバイスを体験してみた
実験用シミュレーターに乗ってみた
そんな新デバイスを、実際に、会場に展示された実験用シミュレーターで体験してみました。 バイク型の機器と、前方に走行シーンを模した映像を流す3台の大型モニターを備えるのが、このシミュレーター。周囲4か所に備えたスピーカーからは、自分が乗るバイクの走行音や、周囲を走るクルマの音なども擬似的に再現。映像と音で、本当にバイクで走っている感覚を味わえるようになっています。 備え付けのヘルメットを被り、早速トライ。まずは、デバイスのシステムを作動させずに、3車線ある高速道路の中央車線を走行してみます。すると、自分が乗るバイクの走行音は聞こえるものの、周囲を走るクルマの音はあまり聞き取れませんでした。 ヤマハによれば、シミュレーターの疑似音も、実際の走行シーンに近づけているとのこと。つまり、ヘルメットを被った状態だと、リアルなシーンでも、周囲のクルマが発する音は聞きにくいのだとか。確かに、言われてみれば、そうですね。ツーリングなどで高速道路を走るときも、こんな感じで、まわりのクルマの音ってそんなに大きく聞こえないことを思い出しました。 そのため、左右の車線から、自分のバイクを抜こうと接近するクルマの気配も、モニターで抜かれたのを見るまでなし。また、モニターに映る自車のバックミラーをしばらく見ていましたが、死角にいて、見えていないクルマが突然追い抜いていくシーンもありました。実際の走行で、こんなシーンに車線変更をしていたらと思うと、ぞっとしましたね。
クルマの接近に合わせ音が大きくなる
次は、システムを作動させて、同じルートを走る映像を見ながら走行。しばらく走ると、まず、ヘルメット右側から音が出てきて、徐々に大きくなっていきます。すると、モニターに右車線から自分のバイクを追い抜こうとするクルマが出現。つまり、音は、後方のクルマが近づくにつれ、大きくなるようになっているのです。 また、左車線から追い抜くクルマの場合も同様で、左側のスピーカーからのみ音が出て、クルマが近づくにつれ音が大きくなり、前方へ離れていくと小さくなっていく感じで、かなりリアルにクルマの存在を認識できました。 ちなみに、ヘルメットに7つのスピーカーを内蔵しているのも、後方のクルマが近づく距離を分かりやすくするためなのだそうです。一般的に、クルマがはるか後方を走っているときは、人間の知覚的地平線(耳の高さ)とほぼ同じ高さから音が聞こえるそうです。そして、クルマが、自分のバイクに接近するにつれ、徐々に音は下側から聞こえるのだといいます。 新デバイスでは、そうした状況をリアルに再現するため、位置や高さを変えたスピーカーをヘルメット内に配置しているのだといいます。