後方死角のクルマを音で警告! ヤマハが開発中の後方認知支援デバイスを体験してみた
ブラインドスポットモニターとの違い
前述の通り、従来ある同様の機能には、ブラインドスポットモニターなどのシステムもあります。4輪車では、新型モデルを中心に普及が進んでいますし、バイクでも、例えば、カワサキ・ニンジャH2 SXや、ドゥカティ・ムルティストラーダV4、トライアンフ・タイガー1200(GTエクスプローラーとラリーエクスプローラー)などが採用しています。 これら既存システムの場合は、4輪車であればドアミラー、バイクの場合はバックミラーの先端に搭載したLEDインジケーターを点灯させることで、後続車の接近を知らせることが一般的です。 一方、ヤマハの新デバイスは、ヘルメットに内蔵したスピーカーで音を出すことが特徴。これは、ヤマハによれば、「聴覚を利用して後方認知を直観的に支援する」ため。ヤマハの研究によれば、本来、人間は、後方などの死角は「見る」のではなく、「聞く」ことで認識するのが自然だといいます。 ところが、一般的なブラインドスポットモニターなどでは、前にあるミラーの光を見る仕組み。これは、脳内で「前方の鏡像(光)」を「後方の正像(後方から近づくクルマ)」へ変換する必要があり、危険などの認知が遅れる可能性も出てきます。また、視線の移動を誘発するため、例えば、インジケーターの点灯を見ている時に、急に前方へクルマが割り込んで来たりすると、回避行動が遅れる可能性もあります。 一方、ヤマハの新デバイスの場合、人間が通常の生活などでも後方を認識する音を使うため、より直感的に後方から近づくクルマなどを認識することが可能。また、視線の移動も最小限に抑えられますから、前方の安全も確認しやすくなるのです。 ちなみに、筆者は、4輪車のブラインドスポットモニター搭載モデルに乗った経験があるのですが、ドアミラーのLEDインジケーター点灯を見落としたことで、ヒヤっとするシーンもありました。 それは、3車線ある高速道路の中央車線を走っているとき。右車線へ移動しようとしてドアミラーは見たのですが、ついうっかりブラインドスポットモニターの点灯に気づかず、後方から迫るクルマがいるのに車線変更をしようとしてハンドルを切ろうとしたのです。直前で、右から追い越しをしようとするクルマの存在に気づき、慌てて元の車線へ戻った経験があります。 また、太陽を背にして走る時に、ドアミラーへ太陽光が入り、点灯しているかどうかが分かりにくいシーンもありましたね。バイクでは、同じ機能を持つモデルに乗ったことはないですが、似たようなケースが起こる可能性はありそうですね。