建築のストーリーテラー、 イワン・バーンの撮る写真の世界。
結果、この小屋は、「アウドルフ ガーデンとガーデンハウスは、気候変動に対するヴィトラの意識の高まりを初めて示すものとなるでしょう」(フェルバウム)と語るように、次世代に対するヴィトラ社の姿勢を反映するものとなった。 出来うる限り地域の素材を使い、茅葺きや縄編みなど地域に残る伝統技術を生かし、13人の伝統工芸職人、延べ100人以上の職人たちと試行錯誤を重ねながら建てられた。先々の維持補修を見据え、彼らのほとんどが地元の人々だ。80年代から現代建築の最先端を見せ続けて来た〈ヴィトラキャンパス〉の現段階での最新作が、懐かしさをも感じさせる茅葺き小屋であることの意味と意義を思う。
本展では、田根とフェルバウムの間で交わされたメールに加え、コンセプト形成やボリュームスタディのために作られた数多の模型、職人たちの技巧をとらえた映像が展示され、15平方メートルの小さな小屋が大いなる挑戦であったことがわかる。『Iwan Baan: Moments in Architecture』とあわせて、ぜひ会場に足を運びたい。
『Tane Garden House』
〈Vitra Design Museum Gallery〉Charles-Eames-Str. 2, 79576 Weil am Rhein, Germany。~2024年4月21日。10時~18時。無休。入場料無料。
text_Ayako Kamozawa