久保建英が“レアルデビュー戦”でもぶれなかった原点とは?
さすがに緊張したのか。キックオフからわずか10秒で訪れた、右足のトラップによるレアル・マドリードでの久保建英のファーストタッチは、進行方向とは逆の後方にやや流れてしまった。 しかし、18歳の俊英は慌てない。前へ進むスピードを減速させ、次の瞬間、利き足の左足でボールを前へかき出す。緩急をつけた動きで相手2人を鮮やかに抜き去ると、そのままドリブルで左サイドの敵陣深くまで侵入。相手キーパーの真正面となったものの、左足からクロスをあげた。 日本時間21日に米テキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで行われた、ブンデスリーガの強豪バイエルン・ミュンヘンとのインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)初戦。先発の11人全員が交代した後半から、今夏にFC東京から加入した久保もピッチに立った。 ジネディーヌ・ジダン監督(47)は前半を現時点におけるベストメンバーで戦い、後半からはリザーブや新戦力を投入。Bチームのレアル・マドリード・カスティージャの一員として新シーズンに臨む予定ながら、プレシーズンはトップチームに帯同している久保にもチャンスが訪れた。 ポジションは3トップの右ウイングではなく、逆三角形型で構成された中盤の左インサイドハーフ。巧みなポジショニングから味方のパスを引き出し、常に前を向く積極的な姿勢を見せながら、視野の広さを生かしてベストのパスを選択して攻撃を差配していく。 迎えた後半17分にはセンターサークル内でショートパスを受けると、そのまま前を向いて3タッチ目で左足からスルーパスを一閃。シュートは相手DFの必死のスライディングタックルでブロックされたものの、FWヴィニシウス・ジュニオール(19)の絶好機を演出した。 しかし後半に入って2点を追加され、試合そのものも1-3で敗れた。結果に対して悔しさを露わにして、プレーにも最低限の自己評価しか与えなかった試合後の姿を見て、初めてプロの舞台に立った2016年11月5日の明治安田生命J3リーグ第28節、AC長野パルセイロ戦を思い出した。