久保建英が“レアルデビュー戦”でもぶれなかった原点とは?
「自分が成長し続けるために大切なのは、やっぱり気持ちだと思います。具体的には貪欲さというか、上にはさらに上がいるということ。まだまだ自分は下の方にいるので、どんどん追い越せていけるように、という気持ちを抱きながら毎日をすごしていきます」 FC東京U-18に所属しながらトップチームに2種登録された、当時中学3年生の久保が試合後に残した言葉は、そのままいま現在にも当てはまると言っていい。 前半のピッチでレアル・マドリードの中盤を構成したドイツ代表のトニ・クロース(29)、スペイン代表のイスコ(27)、そして昨年のバロンドールを受賞したクロアチア代表のルカ・モドリッチ(33)。あるいは、新加入のベルギー代表FWエデン・アザール(28)のパフォーマンスをベンチから見ながら、モチベーションを大いにかき立てられたことは容易に想像がつく。 決して現状に満足することなく、掲げる目標を高く保ち続ける姿勢は、15歳にしてFIFA・U-20ワールドカップに臨むU-20日本代表に初選出された2017年5月2日の言葉からも伝わってくる。 「基準を作ってしまうと、それよりも上に行くことができないと思うので。なので、最低限の基準をみなさんが見ていて楽しいと思えるプレーに置きながら、チームの勝利に貢献していきたい。具体的には誰が見ても『あっ、すごいな』と思えるプレーというか。たとえばドリブルならば相手にボールを奪われないことが大前提で、なおかつ相手に嫌がられるコースを進むことですね」 年上の選手と対峙する舞台で、及第点のプレーにすえる基準を聞かれた久保はこんな言葉を返している。一夜明けた5月3日。北海道コンサドーレ札幌とのYBCルヴァンカップ予選リーグ第4節で、トップチームでデビューを果たしても、自身の立ち位置を冷静に見つめる姿勢は変わらなかった。 「現時点で他の同年代の選手たちよりも、自分は半歩ぐらい前に出られているのかなと思う。このまま失速することなく、どんどん上のステージへ行きたい」 貪欲なまでに成長を求め、常に危機感を募らせてきた。だからこそ、2年ちょっとの間に同世代に対して半歩どころか、背中がはるか遠くに見える位置にまで突っ走ることができた。 「ずっとサッカーをやってきた姿勢が、プロになったからとか、ある程度成功したからといって変わってしまえば、いままでの成長スピードも落ちてしまう。そう考えただけで怖くなりますけど、だからこそ楽しくサッカーができているうちは、どんどん上へあがっていけると思っています」