スタートアップ企業の”出現率” 最も高いのは福岡県・北九州市 30代起業家が口をそろえる「破格の補助金」と「エンジニアにとって良い土壌」
■大手メーカーで感じた”日本の製造業の弱み”「技術はあるのに・・・」 ミラリンクは、金属加工を依頼したい発注者と工場をマッチングさせる「めたまっち」というサービスなどを展開している。 「新しく金属部品を調達したくてもどこに発注したらよいかわからない」そんなニーズに応える、製造業の街・北九州ならではの事業だ。 ミラリンク 社長 佐取直拓さん 「日本のモノづくりって世界ナンバーワンだってよく言われていたと思うんですけど、ちょっと今そういうことじゃないんじゃないか、過去の栄光なんじゃないかなって思っていてもっともっと製造業を盛り上げたいっていうところが一番の原動力になっています」 佐取さんは、技術者として勤務していた大手メーカーで、日本の製造業が抱える弱みを垣間見た。 多くの優秀な技術者が卓越した技術を持っているのに、DX化されていないがために、例えば、宝ともいえる設計図がアップデートされないまま眠っている。 技術者同士が設計図や知見を共有できるシステムがあれば、今の時代が求める製品を開発できるのに、それができていないと感じた。 この日、佐取さんは、創業70年を超える北九州市の老舗企業・戸畑製作所に向った。 戸畑製作所社内にある大量の設計図や顧客情報などをAIで管理する、新しいサービスを提案するという。 戸畑製作所 代表取締役社長 松本敏治さん(46) 「佐取社長も金属・材料の専門家ですので、言葉がわかる。打ち合わせをしていても、データ屋さんと違って話がわかるのでやりやすい。フットワークが軽くて技術屋さんがベースの割にはあまり内にこもってなくて、バイタリティがあって面白い 方だと思います。手を携えて一緒に成長していければ嬉しい」 佐取さんは、商工会議所で行われた自社サービスの説明会で、戸畑製作所の松本社長と出会い、そこから一気にビジネスパートナーになった。 ■「”一肌脱ぐ”土地柄もあるのかな」 34歳の若き社長と46歳の老舗起業経営者のふたりを引き合わせた、北九州市。 市のスタートアップ推進課で支援を担当する小濵隼人さんは、「できるだけ顔を突き合わせて悩み事とかニーズとかを教えていただいて、それを限りなくかなえていくことができるような支援を心がけている」という。 長年、市の商工畑を歩んできたが、その中で感じることがある。