専門家も思わず立ち尽くす『液状化』被害...現地調査で見えてきた要因「わずかな傾斜ある地域」が全体的に滑ったか...「均一な砂粒」も一因と分析
専門家ですらこれまで見たことがないという今回の被害。車で進入できる場所はもちろん、歩いて調査できる範囲を写真で記録しながらできる限り見ていきます。道路などに噴出して溜まっている泥からも得られる情報があると言います。 (京都大学防災研究所 上田恭平准教授)「砂の粒が比較的そろったものが多い。いろんな粒、大きい粒とか小さい粒とか混じりあっていると、それがうまいことかみ合って強い。大きな粒の間に小さな粒が挟まってそれが抵抗してくれるイメージなんですけども、同じ粒の砂しか含まれていないと液状化に弱いと言われている」 詳しい調査の必要はありますが、元々土地自体に含まれる砂が要因の一つと言えそうです。 さらにもう一つ、調査チームでは気になることがありました。後ろに丘が見える場所では被害が見られないにもかかわらず、そこから南側に行くと地面が波打ち一気に被害が拡大します。ここまで同じ地域で被害の差が出ることは珍しいと言います。 この被害拡大の一因と考えられるのが『わずかな傾斜』だと上田准教授は話します。 (京都大学防災研究所 上田恭平准教授)「あちらの標高が高くて、こちら側が低いので、(傾斜で)全体的に一様に滑っている。液状化自体、普通の水平な地面で起こると噴砂とかで被害が出るんですけど、なかなかここまでの被害にならないはずだと思います。わずかな傾きかもしれないですけど、ちょっと傾いているということだけでも、地面が流体のようになるので、滑りが生じてここまでの(地形の)変状になったのではないかと思っています」 上田准教授が推測するメカニズムがこうです。この地域は丘側がやや標高が高く、そこから河北潟の方へ緩やかに傾斜した地形となっています。ここで地震による液状化が起こった場合、地面の下でもこの傾斜に合わせて流動化した泥や水が流れていく形になります。 この流れが道路などの固い構造物にぶつかると、圧力を逃がすために波のように上へとせりあがることとなります。その結果、標高の低い側に隆起やそれによる沈降といった大きな地盤の変動が見られる結果になったということです。