静岡地検検事正 袴田さんに謝罪 姉ひで子さんにも 犯人視せずと説明「申し訳ない」 無罪確定受け面会
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件を巡り、静岡地検の山田英夫検事正は27日、静岡地裁のやり直しの裁判(再審)で無罪判決が確定した袴田巌さん(88)に面会して謝罪した。 山田検事正は同日午前11時15分ごろ、浜松市中央区の袴田さん宅を訪問した。袴田さんと姉のひで子さん(91)に対して、検察として控訴を断念し、無罪判決が確定した以上、袴田さんを犯人視していないことを改めて説明。「大変申し訳ございませんでした」と述べ、頭を下げた。 袴田さんは1980年に死刑が確定した。2023年3月に再審開始が決定し、同年10月に静岡地裁で再審公判が始まった。地検は有罪立証を維持して改めて死刑を求刑したが、地裁は24年9月の判決で無罪を言い渡し、捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)があったと認定した。 畝本直美検事総長は控訴断念に際し発表した談話で、捏造が認定されたことに「強い不満」を表明。判決理由に多くの問題を含んでいるとして「到底承服できない」と反発し、上級審の判断を仰ぐ内容だったと主張した。弁護団は袴田さんを犯人視していると批判し、談話を撤回するよう求めていた。
静岡新聞社