熟年離婚は“今そこにある危機”…転勤族の夫を支えるも「能面をかぶった妻」と離婚を突きつけられた57歳女性の顛末
「ただ一緒にいるだけ」という夫婦に告ぐ
私は、そんな典子さんに、もちろん再婚を勧めています。 夫の気に入らない部分だけに目を向けるのではなく、自分の結婚観に気付くことができた。これは成長です。夫側も仕事優先で家のことを妻任せにし、結果、文句を言うというのも公平ではありません。両者ともに反省点があります。 転勤中でも、せめて一緒にいるときは愛を育む時間を過ごすことで、夫婦愛は冷え込まなかったかもしれません。単身赴任家庭でも仲良し夫婦はたくさんいます。 熟年離婚したいほど相手のことが嫌な人は無数にいますが、離婚に踏み込まない人はどこかで、「結婚なんてこんなもんだ」と諦めていたり、「日々の生活に困らないのであれば仮面夫婦でいい」と妥協していたりする傾向があります。 もちろん、2人がクールな日常に納得していれば問題はありません。ただ、相手から突然「別れたい」と突きつけられたときの動揺は半端なものではありません。経済的弱者の方は途方に暮れます。その上、健康面の問題が現れる年代でもあり、老後を1人で過ごす体力と気力が継続するかという不安も襲います。 相手のことを愛しているわけでもなく、楽しくもなく、ただ一緒にいるだけというお二人に告ぐ。「熟年離婚は今そこにある危機」という危機管理意識を持ってください。 「地震、雷、火事、熟年離婚」。それくらい、突然降ってくる困難な事象という位置付けを自覚すれば、目の前のパートナーに優しい気持ちを持つことができるのではないでしょうか。
「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美