このツアーで必ず伝えてきたこと「好きなものを大切に生きてほしい」

緩急あるセットリストは続く。一瞬の間のあと、空気がガラリと変わる。ピアノの前に座る中島の姿が。静かなピアノの音色が響く「Turn to You」。八木は椅子に腰かけ、ピアノを奏でる中島を時折見つめながら、声を重ねていく。先ほどまでとは打って変わってしっとりとした空気が会場に流れていく。 歌い終えると、改めて会場の熱量に顔をほころばせるふたり。一方でこのツアーが終わってしまうことに寂しさをにじませ、もう一度最初からツアーをやりたい、という場面も。「できないか」と声のトーンを落とすに中島に対し、八木は「いや、できるし！」ときっぱりと言い、FANTAROを微笑ませた。 中島は改めて「こうやって、大切な時間を使って僕たちに会いに来てくれて心から感謝しています」と言ったあと、「このツアーで必ず伝えてきたんですけど、みなさんそれぞれ人生があって、その人生を思いっきり楽しんでください。好きなものを好きで、それを大切に生きてほしいと思います。好きなものにもいろんな形や種類があって、その全部が違う、どれが正解とかじゃなくて、全てが素敵な感情だったり、想いだと思います。そして僕たちはこうやって出会ってくれたFANTAROのみなさんが大好きです。みなさんと一緒に夢を叶えていきたいと思っています」と思いを伝えた。 次の曲は、「聴いた方の心がスッと楽になったり、笑顔になってもらったり、この曲を聴いてがんばろうと思ってもらえたら、と思って歌い続けている曲」。コールしたのは「アプデライフ」。 「知っている人は一緒に歌ってください」と笑顔で呼びかける。そして楽しそうにふたりで花道を歩いていく姿は、柔らかな空気をまとう。最後は八木が中島の肩に腕を回し、笑顔で楽曲を締めくくった。 そのあとはパフォーマーのショーケースへ。 客席から登場した6人。瀬口が「準備はできてるか！？」と盛り上げながら練り歩き、ステージに上がる。会場はパフォーマーたちの名前をコールし、熱狂に包まれていく中でまずは6人で息の合ったダンスを披露。ペアでのパフォーマンスを見せたあと、佐藤をトップバッターにそれぞれがソロでのパフォーマンスを見せて会場を沸かせた。 再び全員揃って登場したところで新曲「SPLASH」で会場の熱をもう一段上げていく。 そしてここからはメドレーのターンへ。「Can't Give You Up （Remix）」、「WHAT A WONDER （Remix）」と畳みかけるように歌い上げ、八木が会場を煽り、客席もライトを突き上げる。さらに瀬口がマイクを持ち、煽る。 木村が「おなじみのあの曲で踊っていきたいなと思います」と言い、「みなさん僕を見て踊ってください」とお手本を見せたのは「Tarte Tatin」。会場一体になって盛り上がったところで、中島がMCをしているとどこからともなくバイクのエンジン音が響き渡る。スポットが当たったのは堀。バイクに乗っている……のかと思いきや、自転車に乗った堀。 「会場が広いから自転車で走りたいということですか！？」と中島が尋ねると堀はにっこり。観ると、パフォーマーがそれぞれ自転車に乗ってスタンバイはばっちりだ。夏に自転車、ということなのだろうか、「Summer Bike」を八木と中島が歌う中、パフォーマーたちが自転車で会場を縦横無尽に走り回る。その様子が心なしか楽しそうだ。 さらに「夏を感じていきましょう！」という中島の言葉から始まったのは「Summer drops」。ポップな夏ソングが続く。パフォーマーは水鉄砲を持ち、夏感を演出。世界もマイクを手にとり「まだまだ楽しめますか！」と楽しそうに会場に向かって声をかけた。 たっぷりとFANTAROのそばでパフォーマンスを見せたところで、視線はステージへ。メインステージにはボーリングのピンに扮したダンサーたちが。この日バックを務めているEXPGスタジオやEXPG高等学院の面々だ。そこに飛び出してきたのはピンのかぶりものをした佐藤。手には「ラスボス」のフリップが。見た目はふざけているが、「CANNONBALL」に合わせてキレキレのダンスを見せる。そんな佐藤のもとにボールの着ぐるみを着た木村が突撃し、倒れるピン。ラスボスだと言っていたけれど、そんなに強くはないのだろうか。 そのあとも踊りながらもニコニコの佐藤はピンたちを引き連れ花道を進んでいく。 センターステージにたどり着いたところで、再びそこに突っ込んでいくボール・木村。ボールの着ぐるみのせいか、走り方がかわいいが見事（？）全てのピンを倒し、ストライクを取った。 曲を終えて感想を聞かれた木村は「最高です！」と笑顔を見せ、ラスボス佐藤は「負けてしまってさーせん！」とおどけた表情を見せた。 笑顔溢れるステージを繰り広げたところで、「次の曲は僕らの新曲になります」と八木。「まだまだパフォーマンスもしたことないレアな曲です」と「SUPER DUPER DISCO」を披露。パワフルなパフォーマーのダンスもありつつ、のびやかなボーカルも響かせ、力強いだけでなく、思わず体を動かしたくなるようなサウンドだ。 ここからはいよいよラストスパート。会場も歌声を重ねたのは「Choo Choo TRAIN」。これだけでも十分に盛り上がりを見せたがさらに「本当にラスト公演、ここまで突っ走ってきましたが、まだまだ物足りないですよね？　まだまだ声出して暴れたいですよね！」「もうひとつギアを上げていこうぜ！」と八木が言い、本編ラストの楽曲となる「ギリギリRide it out」。ロック調な楽曲に中島がいつもより重低音を響かせる。パフォーマーはステージを所せましと駆け巡り、文字通りギアを挙げていく。八木が「叫べ！　叫べ！」と最後まで煽り続け、最高潮のテンションのままに本編を締めくくった。