全中はコロナで前日出場辞退…「高校では全国に」中体連から堀越進学で悲願を叶えたGK佐藤晴翔
[1.4 選手権準々決勝 前橋育英高 1-0 堀越高 フクアリ] ビッグセーブが飛び出したのは後半11分、堀越高(東京A)のGK佐藤晴翔(3年)はDF久保遥夢(2年)に許したループ気味のヘッドを右手に当ててかき出す。前橋育英の猛攻を受けながらも、ゴールにカギをかけ続けた。 【写真】なでしこDF北川ひかるが母と韓国旅行「とてつもなく美人」「モデル?」「アップ、めちゃカワ」 しかし後半15分、MF黒沢佑晟(3年)のシュートがクロスバーに当たって跳ね返ったボールをFWオノノジュ慶吏(3年)に押し込まれる。先制のゴールネットを揺らされると、これが決勝点になって0-1で敗戦。ただ堀越の守護神は、「練習試合でも格上のチームとやっていたけど、その上をさらに超えてきた」と素直に完敗を認めていた。 全国大会に出たいという悲願が叶った大会になった。佐藤は埼玉県にある新座市立第二中学校出身で、中3時には全国中学校サッカー大会への出場権を獲得。しかし新型コロナウイルスの感染に過敏な時期で、1回戦の前日にチームメイトが発症したことで、無念の出場辞退となっていた。 やるせない思いを高校年代で晴らしたい。そんな佐藤の目に飛び込んだのが、テレビでみた堀越高校が高校選手権を戦う姿だった。「第100回大会に出ていたチームをみて、一番全国を狙える学校だと思った」。中学のチームメイトが地元の西武台高や浦和南高に進学する中で、ただ一人、都内の高校への挑戦を決めた。 しかし最初はレベルの高さに戸惑うことも多かったという。「周りはクラブチーム出身の選手ばかりで緊張したし、1年生の時は上手な選手についていけなくて苦労もした。でも先輩が本当に優しくて、細かいところまで技術を教えてくれました」。2年生だった昨年はベンチメンバーとして選手権ベスト4を体感した。 だが「全国に出る」という悲願は叶えられていないままだった。レギュラーを掴んだ最終学年、春先に勝てない試合が続き、インターハイ予選でも早々に敗退が決まった。また全国に出れないのか。それでも最後の高校選手権、都大会決勝に進んだ堀越は、実践学園高との延長戦に及んだ死闘を制して、2年連続6回目の全国大会出場を決めた。 そして結果的に全国大会は3試合でゴールマウスを守った。「全国大会に出られるとなって、いろんな人から、中学のチームメイトからも連絡がきた。みんなの想いも伝わっていた。個人的には去年立てなかった国立のピッチに立ちたかったし、無失点は初戦しかできなかったので、そこは悔しいですが、今日もセービングとかは死ぬ気で戦って、飛んで、ゴールを守れたと思います」。 卒業後は大東文化大学への進学を予定。サッカーも続けるつもりだという。「中学の時の全国大会辞退が悔しすぎて、高校では自分たちの代で全国に行きたいと思って堀越に来た。今日負けてしまったけど、全力は出せたと思います。大学でも2、3年生でスタメンを取れるように頑張りたい」。正真正銘の全国大会出場歴を掴んだ誇りを胸に、今後のサッカー人生を歩んでいく。
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