「早くて未完成」と「遅くて完璧」 どちらが評価される仕事なのか?
チームの一員の責務として、リスクは早めに開示する
ふたつ目は、リスクコントロールの観点です。締め切りギリギリになって、方向性が間違っていた、いままでのやり方がだめだったということになったら、すべてやり直しになってしまいます。 方向性が違っても、早い段階なら、みんなの力で方向修正できますが、プロジェクト終了間際になって間違っていたら、たいへんなことになります。ですから、早めに方向性を出して、当たりをつけたほうがいいのです。 その当たりをつけるということが、"Quick and Dirty"の仕事術です。先ほどの体験からリスクコントロールを学んだという牧田さんは、次のように言っています。 「あなたがたった一人で仕事をするなら、完璧を求めてもいいかもしれない。そのリスクはあなたが背負うのだから。ただ、多くの人はチームで仕事をします。上司や同僚がいます。チームの一員としての責務は、リスクを一人でかかえ込まないこと。そのために、リスクは早めに開示することが、相手に対する思いやりなのです」 自分はできる、完璧だということを示そうと、何日もかけて100点を目指すのではなく、方向性が合っているかどうかを早く確かめて、早め早めに相談すること。これは「報連相」の基本でもあります。
大石哲之(作家、投資家)