【高額療養費】上限額が変わるとどんな影響が出る?高齢者の外来特例も見直しの動き
医療機関で高額な医療費を負担するとき、支えになるのが「高額療養費制度」です。 所得や年齢ごとに「1ヶ月あたりの自己負担額の上限額」が決まっており、これを超えて支払った分については、あとから還付が受けられるという制度です。 ◆【写真】高額療養費制度とは?年収ごとの支給額例を見る これまで入院等を経験した方は、助かったこともあったのではないでしょうか。 そんな高額療養費制度ですが、近年の医療費の高騰を受けて上限額の見直しが進んでいます。 私たちの暮らしにどれほどの影響があるのか、厚生労働省の資料から見ていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、入院や通院などで医療機関や薬局の窓口に支払った額が上限額を超えた場合、超えた金額が支給される制度のことです。 上限額はケースによって異なりますが、たとえば70歳以上・年収370万円の人の上限額はひと月あたり「8万100円+(総医療費-26万7000)×1%」と決まっています。 もし総医療費が100万円になったとしましょう。公的医療保険により3割負担となるので、支払額は30万円となりますね。 ただし「8万100円+(総医療費-26万7000)×1%」が上限となるので、このケースでは8万7430円の負担で済みます。 つまり、申請すると超過分の21万2570円が返ってくるのです。 医療費が100万円となると青ざめてしまいますが、8万7430円に抑えられるのであればありがたい制度といえます。 現行制度における自己負担額について、もう少し詳しく見ていきましょう。
「高額療養費制度」の自己負担限度額はいくら?
「高額療養費制度」の自己負担限度額は、年齢や所得によって変わります。 ●70歳以上の自己負担限度額(年収ごと) まずは70歳以上の自己負担限度額を見ていきましょう。年収ごとに以下のとおり(※世帯ごと)となっています。 ・年収約1160万円~:25万2600円+(医療費-84万2000)×1% ・年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000)×1% ・年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000)×1% ・年収156万円~約370万円:5万7600円(外来は個人ごとで1万8000円) ・住民税非課税世帯:2万4600円(外来は個人ごとで8000円) ・住民税非課税世帯のうち年金収入80万円以下など:1万5000円(外来は個人ごとで8000円) 続いて、69歳以下の年収ごとの自己負担限度額は以下のとおりです。 ●69歳以下の自己負担限度額(年収ごと) ・年収約1160万円~:25万2600円+(医療費-84万2000)×1% ・年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000)×1% ・年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000)×1% ・年収~約370万円:5万7600円 ・住民税非課税世帯:3万5400円 年収約370万円~約770万円の場合、先述のとおり「8万100円+(総医療費-26万7000)×1%」が上限となります。 「公的な医療保険で月の医療費は月8万円くらいにおさまるよ」と聞いたことがある方は、こちらが根拠になっています。ただし、正確には上記のとおり、ケースによって異なることを知っておきましょう。 この高額療養費制度の上限額について、引上げの動きがあるのです。