観光客の命をどう守る?「臨時情報」をきっかけに海沿いの観光施設が始めたこと
今村教授は、そのヒントとして山形県酒田市が作っているリーフレットと津波避難啓発映像を挙げています。(酒田市HPにて公開されています。飛島津波避難啓発映像及びリーフレットで検索をしてください) リーフレットには島の地図に複数の避難路が赤線で目立つように示されているほか、目印や避難する時の注意点、避難経路の入り口に看板を設置、またハザードマップを確認できるQRコードをつくるなど、初めてその場所に訪れた人でもわかるよう、避難に必要な情報が書かれています。 またフェリー内で流れる啓発動画は、地区ごとの避難行動が紹介されているほか、外国人にもわかるよう英語の字幕もあり、島の美しい景観の映像とともに“伝える”工夫をした動画に。 今村教授は「フェリーに乗ると船の安全ビデオのあとにこの動画を見ていただく。そして手元にはリーフレットがある。周知という面ではとても有効」と話します。 このようなアプローチをした上で、従業員が、“どのルートで逃げるのか”お客さんを的確に誘導し、安心感を持って行動してもらえるようにしていくことが求められています。
臨時情報をきっかけに「より安全な施設」への模索
9月6日。 佐田岬はなはなのスタッフが新しい避難ルートを実際に歩いて検討していました。 これまでは人が密集する集落方向の避難ルートを複数設定していましたが、別の集落にも選択肢を広げてみよう、防災への思いが行動となって表れ始めていました。 「他人事ではないなというのが一番。お客様の安心と安全をどう守っていくかというのは、私だけでなく従業員も肝に銘じて日頃仕事をしていくということが大事なことだと改めて感じました」と支配人の佐々木さん。 インバウンドの増加など、訪れる客層も変化していくなかで、危機意識をバージョンアップし、定期的に安全について考える機会を持ちたいとも話します。 いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震。 その時、逃げ遅れを一人でも減らせるよう具体的なアクションが求められています。