自閉症の療育は「質より量」が効果的!専門家がおうち療育を勧める理由
自閉症の診断は3歳まで様子見、いざ療育に通ってもなかなか効果がみえず…そんな療育の実情をふまえて、今川ホルンさんが親御さんに「質より量のおうち療育」を勧める理由とは? 【漫画】「自分の子の発達遅れ」を受け入れられなかったママ医師が、子どもの前で初めて泣いた日 発達科学コミュニケーションマスタートレーナーで、自閉症児の母でもある今川ホルンさんの解説を著書よりご紹介します。 ※本記事は、今川ホルン著『脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育』(パステル出版)より、一部を抜粋編集したものです。
「3歳まで様子を見ましょう」に現れる日本の実情
アメリカではことばがゆっくりな自閉症児に対し、1歳から週20時間の早期介入を始める療育プログラム『ESDM(Early Start Denver Model=アーリースタートデンバーモデル)』が展開されています。近年日本でも『ESDM』が紹介され、自閉症児に対して1~3歳のうちに始める早期の専門的な介入が大事であることが知られるようになってきました。 しかし実際にママたちの声を聞くと、1歳半健診でことばが出ていなかったけれど、「しばらく様子を見ましょう」とか「3歳を過ぎないと診断をつけられないので、誕生日がきたらまた受診してください」などと言われてしまうケースが日本ではまだ多いのが現状です。 また、公費で児童発達支援事業所に通い療育を受けることが主流ですので、療育施設に通うための通所受給者証取得に時間がかかり、療育施設の見学や空きを待つのに半年や1年かかってしまうことも珍しくありません。 地方格差もあります。3歳になった私の娘がことばが出ないと悩んでいた当時、市内にある療育施設は市立の児童発達支援センターだけで、「週5で毎日9時から14時に通える子しか受け入れません」と言われてしまいました。 市役所から市外の民間療育を紹介されましたが、とても働きながら通わせられる距離ではないうえに、土曜日は満員で、施設での療育を諦めた経験があります。 「3歳まで様子を見ましょう」と言われてしまうこと、そして3歳を過ぎても思うように療育に通えないことなど、自閉症児の療育に関する日本の課題は山積しています。