【社説】終戦論の中でウクライナ特使訪韓、殺傷武器支援は難しい
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨日、ルステム・ウメロフ国防相を団長として訪韓したウクライナ大統領の特使団と会った。ロシアとの戦争が激化する中、ウクライナのゼレンスキー大統領が急いで特使団を派遣したのだ。 大統領室によると、尹大統領は昨日、「ロ朝の軍事協力による安保脅威に対処するため、韓国とウクライナが実効的な対応案を講じていくことを望む」と述べた。大統領室はウクライナの武器支援要請があったかどうかを明らかにしなかったが、1000日以上もロシアと戦争をして戦争物資が不足するウクライナが申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長、金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官と別に会った席などで、いかなる形であれ武器支援リストを出した可能性は高い。ウメロフ特使は「ロ朝軍事協力の高度化に対応するため韓国との協力案を積極的に模索するべきというゼレンスキー大統領の指示があった」とし「韓国と諸般協力を強化していくことを希望する」と明らかにした。 トランプ氏の早期戦争終結論を受け、ウクライナとロシアはそれぞれ終戦交渉で有利な立場になるよう最近攻勢を強めている。ウクライナは西側国家の支援をより多く確保しようとしている。尹大統領は7日の記者会見で「北の軍の関与の程度により段階別に支援方式を変えていく」とし「武器支援も排除しない」と述べた。 しかし北朝鮮が軍事的脅威を高めて厳しくなった韓半島(朝鮮半島)安保状況を政府は最優先に考慮する必要がある。韓国はウクライナに武器を支援する米国や英国など外部の軍事脅威が大きくない国々とは違う。北朝鮮が核とミサイルに加えて通常兵器の現代化で脅威を高めている中、韓国が保有する大量殺傷武器をウクライナに支援する場合、韓国軍の安保の穴につながりかねない。ウクライナが希望するという対空ミサイルや155ミリ砲弾は韓国軍も余裕がないうえ、防衛産業企業が追加生産するにも相当な時間が必要となる。昨年5月に尹大統領がゼレンスキー大統領に会った後に約束した携帯用地雷除去装備や防毒マスクの支援も2カ月後に行われた。 また列強に囲まれた韓国の立場では、来年1月にトランプ次期大統領が就任した後、ウクライナ戦争の様相がどう変わるかも分からない状況で、今後のロシアとの関係も考慮せざるを得ない。韓国産武器がロシア軍や北朝鮮軍を殺傷するのに使用されれば、国内の理念葛藤にもつながる。韓国の殺傷武器支援は最も慎重に検討するべき問題だ。