「困った時は植物に聞け」、食虫植物の不思議な生態を学ぶ植物展が人気/大阪
虫を捕まえる巧妙な仕掛けと絶妙の間合い。食虫植物の不思議な生態を観察できる植物展が大阪で開かれ、親子連れなどでにぎわっている。仕事に行き詰まりがちなビジネスパーソンも、知恵と工夫で進化を遂げてきた食虫植物から、ピンチ脱出のヒントをもらえそうだ。 天然温泉とフィットネスが合体。市有地の民間活用で健康増進を。鶴見区緑地公園
誤作動させないセンサー付き「わな」
この植物展は、咲くやこの花館(大阪市鶴見区緑地公園)で開催中の「謎解き!?虫を食べる植物展」。食虫植物はわなの仕組みや形が面白いため、子どもたちに人気があり、夏休み期間の恒例企画になっている。食虫植物は世界に550種類ほど自生し、同植物展では内外の食虫植物が約50種類展示されている。 動けない食虫植物が、自由に動き回れる昆虫を、いかにしておびき寄せ捕まえるかが、見どころ。ハエトリグサは二枚貝が口を開けたような姿で、虫が来るのを待つ二枚貝式わな型。ただし、虫がいないのに誤作動で数回続けて閉じてしまうと、仕掛けが壊れてしまう。 一発必中の真剣勝負だ。久山(くやま)敦館長は「左右に三対のセンサーが付いていますが、雨粒がセンサーに一度当たるだけでは閉じない。虫が横切ってふたつのセンサーが連続して反応すると、一瞬で閉じて虫を捕えます」と話す。 ハエトリグサはきれいな花を咲かせる。花粉を運んで繁殖を助けてくれる虫がわなにかからないよう、わなから遠く離れた安全な場所で花を咲かせるという。繁殖用の虫と捕食用の虫を使い分けている。ダーリングトニアの別名はコブラリリー。捕虫葉が鎌首を持ち上げたコブラに似ているからだ。
ウツボカズラのつぼは胃袋そっくり
ハエトリグサと並ぶ食虫植物の代名詞はウツボカズラの仲間。百種類ぐらい確認され、ボルネオの奥地などからは今も新種発見のニュースが飛び込んでくる。 葉の先からつるが伸び、その先につぼ状の袋を作る「落とし穴型」だ。蜜とにおいで虫を誘い、つぼの中へ落とし込む。虫を酸性の消化液で溶かすほか、酵素やバクテリアでも分解して養分を吸収する。形ばかりではなく消化の仕組みも、人間の胃袋と驚くほど似ている。 ウツボカズラが自生する熱帯雨林は土壌が豊かと思われがちだが、枯れ葉などの分解が早すぎて養分が雨に流され、土壌がやせている。そうした厳しい環境下で植物が生き残る手段の一つとして、膨大な歳月を費やして虫を捕える技術を身に付けてきた。