「やばい暑さ」はそろそろ限界。異常気象を食い止めるために、今こそ知りたい''ハーモナビリティ''
領域を超えた協調が自然との共生につながる
日本気象協会は、1950年に設立して以降、気象・環境・防災に関する情報サービスを社会に提供することで、暮らしの安全安心と快適さの向上に取り組んできた。同協会が現在、多岐にわたる活動のすべてを表現する言葉として掲げているのが、「Harmonability(ハーモナビリティ)」だ。 「ハーモナビリティは、自然界と調和(=ハーモニー)した社会の実現に向かおうという、当協会のミッションを示す造語です。私の担当する商品需要予測サービスも、適切な生産・販売計画を策定することによる、食品ロスの削減や省エネ化が、自然との共生に結びつくと考えています」 また、ハーモナビリティという言葉には、理想とする社会の実現のために、様々な主体と協調していく思いも込められているのだと、熊倉さんは語る。 「当協会は、社会課題の解決のためには企業や産学官の枠を越えた連携が不可欠だと考えているんです。商品需要予測サービスでは、メーカー、小売り、当協会の三者が一体になって食品ロスの削減に取り組んだ事例がありますし、技術開発でも外部との共創に取り組んでいます。異なる立場にある各主体が、目線をそろえながら課題解決に向かっていく上で、気象という客観的なデータの共有は、とても意義深いことだと感じています」 地球温暖化による気候変動が顕著となっている中で、多くの人が手をとりあいながら自然との調和を目指す。気象のデータとリスクを把握することは、その大きな助けになるが、一方で熊倉さんは、「天気のポジティブな面にも目を向けてほしい」と呼び掛ける。 「雲の形に思いをはせたり、虹がかかっていることに喜びを感じたり、夜空の星を見て心が洗われたり。そんな風に、気象は間違いなく人の気持ちを明るくする力を持っていると思うんです。一つひとつの現象を『面白い』と感じることが、『なんでだろう』という疑問を生む。そこから一歩踏み込むと、自ずとリスクを知ることになるはずです。私たち日本気象協会のメンバーは、天気が大好きでこの仕事をしています。気象の面白さを知ってくれる人が増えてくれれば、それだけでとても嬉しいです」 気候変動という、地球規模で取り組むべき課題を考えていくために、まずは一度ゆっくりと、空を見上げてみてはどうだろうか。
取材:三菱電機イベントスクエア METoA Ginza "from VOICE"