「セーヌ川は汚くない」パリ五輪で泳いだ選手の10%が胃腸炎も…前回王者がパラトライアスロン競技開催を熱望「水質は完璧ではないが…」
議論百出となったセーヌ川でのトライアスロン競技が再び物議を醸している。 パリ五輪ではトライアスロン、マラソンスイミング競技が実施されたセーヌ川の水質悪化が問題となり、レース後に体調不良を訴える選手が続出した。今月21日には米五輪委員会の医療最高責任者であるジョナサン・フィノフ博士によると、「今大会セーヌ川で実施されたトライアスロンの男女個人、混合リレー、マラソンスイミング男女に出場した全選手の約10%が胃腸炎を発症した」という衝撃データを発表した。 【画像】トライアスロンが実施されたセーヌ川。水上には漂う汚物が… 同博士は過去の大会とは一概に比較できないと断ったうえで、「2016年のリオデジャネイロ大会や東京大会では参加した選手のうち発症したのは1%から3%だった」として、今回の結果は高い割合だと指摘。28日から開幕するパラリンピックでも、パラトライアスロンが予定されており、懸念する声は決して小さくない。 そんななか、セーヌ川での実施に異議を唱えている人物が現れた。フランスの日刊紙『Le Parisien』によると、東京パラリンピックのトライアスロン競技金メダリストであるアレクシス・ハンキンカン(フランス)がセーヌ川での競技実施を熱望している。 母国で迎えるパラリンピックに向け、レジェンドはパリ五輪の開幕前から指摘され続けたセーヌ川の水質問題の汚名を嘆いている。「セーヌ川は他のどこよりも汚くない。トライアスリートやオープンウォータースイマーにアンケートを取れば、95%はセーヌ川で泳ぐことなど気にも留めないだろう」と、セーヌ川での開催は問題ないことを同メディアに強調している。 6度の世界王者は「国際大会は常に大都市で開催されるため、水質が完璧でないことは想像に難くない。それは間違った問題で、セーヌ川は他のどこよりも汚いわけではない。セーヌ川の水質が悪化しすぎれば、トライアスロン大会は数日間延期されるかもしれない」と説明。最終手段として、デュアスロン(スイムを除いたラン&バイク)として開催される可能性があると示唆するが、同選手はデュアスロンには否定的。「フランス人であることを誇りに思えない」と付け加え、セーヌ川でのスイム実施を強く要望した。 五輪開催前からセーヌ川の汚さは問題となっており、その水質汚染は通常時でも大腸菌の数値が大阪・道頓堀の約6倍とされていた。国際パラリンピック委員会は、水質の状態判断については、測定結果に基づき主催者と一緒に決定していく意向を示している。 セーヌ川を巡る未解決問題が山積みされたまま、9月1日と2日にパラトライアスロン競技が予定されている。 構成●THE DIGEST編集部
【関連記事】
- セーヌ川の汚染問題「主催者が隠したかった“不都合な数字”」仏メディアが暴露「基準値内だったのは10日のうち2日だけ」【パリ五輪】
- 「馬鹿げているわ!」女子トライアスロンの出場選手が“セーヌ川汚染”に注目発言!「私はヤクルトを飲んだ」と珍対策も明かす【パリ五輪】
- 水質懸念のセーヌ川でトライアスロン強行。カナダ選手がレース後に“10回嘔吐”、医師のスペイン選手は主催者を非難「私たちはサーカスのピエロ」【パリ五輪】
- 「寝心地悪い」「本当にひどかった」選手村の段ボールベッドに賛否止まず。海外競泳選手は安眠のため、”補強材を自費購入”と暴露も【パリ五輪】
- 「世紀の詐欺だ」「カネ返せ!」パリ五輪閉会式で“予想外の演出”が物議!4万円を支払った観客はブチギレ「私は怒り狂っている」