アートが米大統領選の鍵を握る!? ミシェル・オバマらが「投票率向上」を目指したチャリティ展を開催
バラク・オバマ前大統領夫妻は7月26日、11月の米大統領選挙で民主党候補として出馬予定のカマラ・ハリス副大統領を支持する意向を明らかにした。そんな中、ミシェル・オバマが率いる超党派組織「When We All Vote」が、「Art for Change」と提携し、投票率向上を目的としたオンラインアート展を開催している(12月1日まで)。 2018年に設立されたArt for Changeは、アートのオンライン販売や展覧会の企画から調達した資金を非営利団体へ寄付するなどして社会変革を試みる組織。When We All Voteとの提携は2020年の選挙以来2度目で、前回は5人のアーティストのオンライン展覧会と作品販売を通して3万ドル(現在の為替で443万円)以上を集め、When We All Voteに寄付した。今回は14組のアーティストが参加。作品販売額の5%、最低1万ドル(147万円)を寄付することを目指している。 展示作品は、カリス・リードが星空を背景に「VOTE」の文字を遊び心たっぷりに描いたものや、黒人女性として初めて下院議員に選出されたシャーリー・チショルムを称えたリコ・ガトソンのプリントなど、明るいイメージの作品が多い。しかしこれらのアートワークは、選挙のたびに何が危機に瀕しているのか、つまり、投票しないことを選択することによって、人は一体何を失うリスクがあるのかを伝えるために制作されたものだ。 オーロラのような幻想的な色彩で描かれたカップルとその心臓から飛び立つ鳥を描いた《Oh My Heart》を出品したアーロン・ジョンソンは、2023年の制作当初は政治的なメッセージを伝える意図はなかった。だが企画の意図を知り、制作を進めるうちにその考えは変わっていったという。ガーディアンの取材に、ジョンソンは次のように語った。 「私の作品の多くは、人間から自然まで、全ての存在の相関性についての考察です。投票することは他者に共感し、共同体としての感覚を持つことであり、私の作品と同じメッセージを共有しているように思います」 参加アーティストには、2022年に東京のKOKI ARTSで個展を開催した、ニューヨークを拠点に活動するアルテロンス・ガンビーも名を連ねる。 Art for Changeの創設者兼チーフ・キュレーターのジャンヌ・マセルは、今回のプロジェクトについて、「視覚的な媒体には、社会の変化を推進する力があります。影響のあるアーティストたちが参加し、投票に行こうという言葉を広めることは、とても重要なこと。このプロジェクトは、素晴らしい創造性と変化を促す喜びを併せ持ったものなのです」と語っている。
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