【インドネシア】ステンレス機器、本格生産へ トップシステムが国内最大級工場
医薬品製造装置メーカーのトップシステム(愛媛県西条市)のインドネシア法人、トップシステム・アジア・ベース(TAB) は、2019年に取得したステンレス製タンクなどの製造工場を本格稼働させる。国内最大規模の工場となり、食品や化粧品などをはじめとする日用消費財(FMCG)メーカーからの需要を取り込みながら、中長期的には製薬業界向けのステンレス製装置など高付加価値製品の新規受注を狙う。30年には売上高を23年実績の2倍に引き上げる目標を掲げる。 トップシステムは16年にインドネシアへ進出した当時は、パートナー企業の工場でステンレス製機器の生産を手がけてきたが、TABの設立を機に、西ジャワ州ブカシ県の工業団地MM2100にある工場を約1,000万米ドル(現在の為替レートで約14億7,500万円)で取得した。ステンレス製機器の製造を専門に手がける工場としてはインドネシア国内で最大規模という。 現在は、食品や化粧品、塗料業界向けのステンレスタンクや配管といったステンレス製機器を取り扱っており、容量25リットルから10万リットルまでさまざまなサイズと多様な用途のタンクを製造している。 TABは、インドネシア投資省による食品・飲料、製薬、化粧品業界の投資実績データを基に、同国のステンレス製機器市場が少なく見積もっても年間50億円以上と試算。東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の飲食品・化粧品・医薬品業界の市場は、5~10%の成長が期待できるとして潜在性は大きいとみている。 顧客のニーズに応じて設計から一貫生産することを強みとする。圧力容器などの規格である、米国機械学会の規格「ASME」を取得するなど品質を重視しているが、競合他社と比較して価格が高いことが課題。今後は価格や性能を見直しながら、競争力の向上を図る。 ■国産品切り替え需要を取り込み TABの難波江雪弘社長は、中長期的に現地生産を見据えている製薬会社向けのステンレス製装置について、「インドネシアの大手製薬会社向けの装置は、欧米や日本からの輸入品が高いシェアを握っている」と指摘。その上で、輸入品を国産品に切り替えるニーズを取り込み、「インドネシアのステンレス製機器メーカーのパイオニアになる」と意気込みを話した。 トップシステムの森達雄社長は「日本で培った医薬品装置メーカーとしての知見を生かしてインドネシア最大規模を誇るTABのステンレス製品工場を、飲料・食品・医薬品メーカーに、用水設備や滅菌装置、充塡(じゅうてん)装置などのOEM(相手先ブランドによる生産)の場として活用してもらえるようになりたい」と話した。 最近は、日本の製薬会社向けステンレス製タンクの納入実績もできた。これを足がかりにして、日本の飲料・食品・化粧品メーカー向けの圧力容器や関連装置などの開発も新たに手がけたい考え。将来的には医薬品向けのタンクや調整装置、用水設備にもラインアップを広げることで、より付加価値の高い製品の生産を目指す。 TABの23年7月期(22年8月~23年7月)の売上高は約10億円。30年7月期には20億円の達成を目指す。現在は売り上げの約9割をインドネシア国内向けが占めているが、中長期的にはインドネシアとASEAN向けで合計 70%とし、日本向けの割合を30%に引き上げたいとしている。