俳優・羽田美智子さんの人生にインパクトを与えた3冊。40代で再読の『モモ』幸せの本質とは?
誰しも人生の傍に本の存在があるのではないでしょうか。 時に新しい扉を開き、背中を押し、心を癒してくれることも。素敵に年齢を重ねる13人の方々の〝かけがえのない本〟を聞いてみました。 【画像一覧を見る】
自分の未来を信じ続けたアンネに勇気をもらう。
子どもの頃から多くの本を読み、それが国語力を養い、表現する仕事に生きていると語る、俳優の羽田美智子さん。 「今とは違う人生を疑似経験できる小説が、人生の大きな学びになっています」 1冊目は、ユネスコ世界記憶遺産にも登録される『アンネの日記』。思春期の少女目線で綴った戦争の残酷さと心の輝きのコントラストが眩しい作品です。 「幸せな家族を襲った迫害の恐怖に晒される生の声に引き込まれ、切なくやるせない気分に。それと同時に、絶望の中でも希望を失わないアンネの言葉にハッとし短くも凝縮した人生を思い、落ち込みがちな高校時代に勇気をもらいました」
人生は自分で変えられる。奇跡も起こせると思えた。
20歳で芸能界にデビュー。感情を露わにする演技に自信がなく、緊張し、理想と現実のギャップに悩む羽田さんに答えをくれたのが『アルケミスト』です。 「ファンタジーな物語の中に哲学的な格言が散りばめられた自己啓発的な一冊。自分の意志次第で奇跡も起こせるし、最後に答えを見つけるのは自分自身。失敗とは何もしないこと。挑戦すれば道が開ける、など名言の数々が強く心に刺さります。私は雑念が多かったんですね。明確な目標に向かって集中する大切さに気づき、失敗を恐れなくなれたかな」
目の前にいる人を大切に。急がない生き方を学ぶ。
40代半ばでは、小学生の時に途中でやめた『モモ』を読み直し、心豊かな生き方や幸せの本質について考えたそう。 「可哀想な孤児のモモちゃんに手を差し伸べたつもりが、逆に助けられる。モモは意見を言わずうんうんと話を聞くだけで、皆が自分で答えを見つけて気持ちよく帰っていく。アドバイスなんて要らないんですよね。灰色の服の男たちに唆された人たちが時間を切り売りしてしまう話は人間の普遍的なテーマで、タイパ優先の今に痛烈なメッセージを放つはず。 成功し、お金や名誉を得ても自由な時間を失ったら幸せじゃない。時間とは生きること。〈オソイホドハヤイ〉。大きな渦の中で急いで生きている自分を反省し、本質を心に留めておけば流されずに生きられる、と思わせてくれました」