Internet Archiveは違法? 電子書籍の所蔵に関する著作権訴訟に敗訴
インターネット上に公開されているウェブサイトをはじめとするデジタルコンテンツは、物理的な世界とは異なり、提供元のサーバーから削除されてしまえば跡形もなく消滅してしまう。Internet Archiveは、そのようなコンテンツにも文化的価値を認め、削除される前にアーカイブを保管することで、研究者、歴史家、学者から一般人まであらゆる人々に無料でアクセスできるデジタルライブラリーを構築する非営利団体だ。 Wayback Machineはとても便利だが… もちろん、インターネット上に公開されている情報コンテンツにも著作権は適用されるが、Internet Archiveは、ユーザーによるそのコンテンツの利用はあくまでフェアユースの原則の下で運営され、合法であると解釈・主張している。 しかし、このInternet Arcniveの活動が著作権侵害行為にあたるとして、大手書籍出版社数社が同団体を訴え出ていた。この訴訟は、新型コロナのパンデミックが拡大するさなか、図書館・学校・大学が閉鎖されたため、人々が文化的資料にアクセスできなくなったことに対し、遠隔授業や調査・研究活動等を支援するために設置されたNational Emergency Library(NEL)の事業に端を発する。 NELは当初、ライセンスを受けた物理的な書籍の電子化ライブラリーから、だれかにある書籍(ライセンス)を貸し出せば、その書籍は返却待ち状態になる1ユーザー1コピー制で運用されていた、しかしいつしかその原則が変わり、1度に複数ユーザーが同一書籍を「借りる」ことができるようにした。この点について、それを承知していなかった作家や作家組合、出版社などが非難の声をあげた。NELは翌年にはアクセス可能な書籍数の制限を復活させたが、アシェット・ブック・グループ、ハーパーコリンズ、ランダムハウスなど大手出版社数社は損害を被ったとして訴訟を起こした。 2023年、連邦裁判所はInternet Arcniveには図書館と同様に書籍をスキャンして貸し出す権限はないとの判決を出している。Internet Archiveはこれに対して控訴していた。 そして今回、第2巡回区控訴裁判所が下した判決では「電子書籍のライセンス料は図書館に負担をかけ、創作作品へのアクセスを減少させる可能性がある。他方、著者はオリジナル作品のコピーや配布に関連して報酬を受け取る権利を有する。議会は著作権法において、これらの公共の利益に対する相反する主張のバランスを保たなければならない」と述べられ、Internet Arcniveによるデジタルライブラリーの利点と欠点を認めつつ、最終的に出版社に有利な判決とした。 Internet Arcniveは今回の判決には失望したと述べ、「我々は裁判所の判決を検討しており、図書館が書籍を所有、貸し出し、保存する権利を今後も擁護していく」とコメントした。 Source: Wired via: Engadget, Daily Beast, The Verge
Munenori Taniguchi