客入れ解禁のJ1で一部サポが犯した応援禁止行為…問題視の村井チェアマンは”強制排除”を示唆したが撲滅手段は?
Jリーグは前出の「イベント開催制限の段階的緩和の目安」に沿って、来月1日からはスタジアムの収容人員の50%を上限として、入場者数制限を緩和する方針を固めている。 おりしも16日には東京都で過去最多となる286人の感染者が出るなど、新型コロナウイルスは依然として収束する気配を見せていない。加えて神奈川県で48人、埼玉県で49人、千葉県で32人、大阪府で66人と緊急事態宣言の解除後でそれぞれ最多となる感染者数も確認された。 「東京や関東を中心に感染拡大が懸念されているので、まずはこうした状況を注視しながら、専門家の助言も聞きながら、丁寧に今後の舵取りをしていくつもりです」 方針に変更はないと強調した村井チェアマンは、一方で当初は予定になかった実行委員会を20日にも緊急開催。8月1日以降へ向けた懸案事項を議論する用意があることも明かしている。 「8月1日以降は必ずしも収容人員の50%を入れなければいけない、ということではありません。まずは個々のクラブが地域の事情や都道府県知事の助言・指導に基づきながら、上限通りにチケッティングをするのか、あるいは場合によっては上限を下回るチケッティングをするのか。これに関してはクラブが置かれた感染拡大状況やスタジアムの形状など、さまざまな要因を勘案して個々のクラブが決めていくので、現時点では上限の内訳をクラブごとに丁寧に分析していくアプローチになります」 各クラブの代表取締役や理事長で構成される実行委員会を週明けに開催するのも、チケット販売へ向けて十分な時間を確保するためだ。観客を入れない開催にぎりぎりまで難色を示したように、可能な限り多くのファン・サポーターに観戦してもらい、ピッチの上で展開される両チームのパフォーマンスを通して、少しでも日本中を勇気づけたいという思いが根底に存在している。
これまでも、そして今後も積み重ねられていく努力が、一部のファン・サポーターによるガイドラインから逸脱した行為で無に帰しかねない。観戦中のスタンドにおける禁止事項は8月1日以降も継続されるため、村井チェアマンは一歩踏み込む形で、あらためてガイドラインの遵守を訴えている。 「趣旨に鑑みてファン・サポーターのみなさまに協力を要請しているので、(禁止事項を)破った時点でアウト、というほど単純なものではありません。ただ、人の生命にかかわるような、安全にかかわるような重要事案をガイドライン化しているので、明らかにスタジアムで観戦する方々を危険にさらすような行為があれば、その都度クラブが厳正に対処していきながら、場合によってはそうした方々を排除することも必要になるかもしれません。こうしたことが繰り返されないように、クラブと協力して対応していくべき事案だと認識しています」 サッカーの試合に例えれば、今回は違反行為を繰り返した一部のファン・サポーターへイエローカードが提示された形となる。2枚目のイエローカード、要は退場を告げるのは最後の最後の手段であり、できれば迎えたくない状況と言っていい。可能な限り多くのファン・サポーターをスタジアムへ迎え入れるためにも、あらためて観戦する側のモラルが問われていくことになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)