「大腸菌は道頓堀の4倍」でもセーヌ川は安全だった? パリ五輪で再燃「アスリートの健康は二の次でいいのか」問題
2種目のレースに変更も
「パリ五輪男子のレースが延期されたのは、雨の影響で水質が悪化し、 基準値を上回ったからです 。幸い基準値を下回ったので、3種目で実施できました」 本当に下回っていたのか、疑う向きもあったが、大塚副会長ははっきりと答えた。 「もちろん私は数値を全部見ています。実施した日は間違いなく基準値以下でした。いずれ公表されると思います。それに、もし基準を超えたままなら、自転車とラン、2種目で実施する予定でしたから」 水泳がなければトライアスロンにならないだろう。だが、その点もトライアスロン界では予め了解があるという。 「水泳が実施できない場合、2種目のレースになることはルールブックに書いてあるので、選手たちも承知しています」 メディアでは、「夜中の2時に水質をチェックし、未明の4時に決定を下すのは選手に対して過酷ではないか」との批判も語られていた。これを質問すると、 「一般の方々にはそう感じられるかもしれませんが、これもすべてアスリート・マニュアルに明記してあります。事前のミーティングでも十分に説明し確認済みですから、選手たちに戸惑いはないはずです」
競技団体へのクレームはゼロ
確かに、早朝4時の通達と聞けば驚きもするだろうが、私自身もトライアスロン競技に関わった経験があるから、トライアスロン界の慣例を思えばそれほど違和感はない。なぜなら、トライアスロンレースのスタートは朝6時台が珍しくない。朝4時はもう選手たちがスタートに向けて準備する時間だからだ。 報道では、健康被害を訴えるアスリートが多数いたとされる。それについてはどうか? 「アメリカのドクターが、『選手の1割が健康被害を起こした』というコメントも見ましたが、アメリカ選手でセーヌ川を泳いだのは、トライアスロン選手6名とマラソンスイミングの4名、計10名です。その1割って何人ですか?」 そして、続けた。 「ワールドトライアスロンには、選手からの要望や不満を自由に通報できるシステムがあります。いまのところ、選手、指導者からのクレームは1件もありません。ゼロです」