新聞10紙を読んでも、得られるものが少ない…若き日の小泉進次郎氏がメディアと距離を取り始めた"苦い経験"
政治家の中でも特にメディアに取り上げられることが多い小泉進次郎氏は、取材に対してどう思っているのか。約20年にわたり進次郎氏を取材してきたジャーナリスト・フジテレビ解説委員の鈴木款氏は「2018年当時のインタビューでは、メディアに対して冷めている印象だった」という。著書『新時代への選択 小泉進次郎』(扶桑社)より、一部を紹介する――。 【写真】小泉純一郎氏 ■若い頃は「メディア嫌い」、では今は? ワシントンD.C.で若き日の進次郎は「メディアは嫌い」という言葉を発した。 しかし、進次郎というスターを生み出したのはメディアであり、善きにつけあしきにつけ、進次郎とメディアは切っても切れない関係だ。では、進次郎は今、メディアをどう見ているのか? 2018年1月3日。横須賀市の少年サッカーチームの初蹴りに参加した進次郎は、地元でお正月を迎えたせいか記者の囲み取材にも、いつになくリラックスしたムードだった。ふだん進次郎の行く先には大勢の記者が詰めかけるのだが、この日は三が日ということもあってフジテレビを含め数人のこぢんまりとした取材になった。 取材は秋に予定される総裁選から、年末年始の過ごし方、今年の抱負など、お正月らしい質問が続き、進次郎は「今年は自分の時間の使い方を、変えないといけない。脱皮をしないと」などと話していた。 ■新聞より好きな本のほうが読む価値が高い そして、塩野七生さんの著作を読んだことに話が及ぶと、進次郎は「最近、新聞を読まなくなった」と語り始めた。 「最近は新聞を前ほど読まなくなったんですね、正直言って。どこどこ新聞だから読むということはもうないですね。署名記事でこの人だったらお金を出してでも読みたい、そういうのはありますけど。塩野さんの本は3000円なんですよ。読み終わった後に、もっと払いたいと思いましたね」 そう語りながら、進次郎は持論である新聞への消費税の軽減税率適用反対をあらためて力説した。 「これが本当の価値ある活字文化だと思いましたよ。軽減税率なんて関係ないね。消費税上がったって読む人は読みますよ」 初蹴りイベントで出された豚汁を食べ始めると、体が温まったのか、さらに舌鋒鋭くテレビや新聞に対する日頃の思いを語り始めた。政治家がメディアを相手にメディアについて言及するのは、ふだんはあまり見られない光景だ。