400版を出さなかったヤマハの矜持 YAMAHA RZV500R、誕生から40年
RZVはその短いモデルサイクルの中で、一度だけ小変更があった(識別として前期型を51X、後期型を1GGと呼ぶ)。その後期型が登場したのは1984年12月のこと。つまり、RZVは単年で完結してしまったモデル(1985年の販売台数は99台のみ)ともいえる。よく販売台数が語られることがあるが、販売不振という発言はナンセンスで、意味がない。当初は1000台限定での販売予定だったといわれているが、国内の総販売台数は3697台となる(その内訳は前期型2599台・後期型1098台となる)。1000台限定説の真意は不明だが、もしそれが本当ならば追加で生産に入ったということになり、それならば予想よりも営業面で成功したという評価のほうが良いだろう。そもそもそんな数字よりも、このモデルの存在感、そしてその登場によって成し遂げた社内の機運と業界の盛り上がりといった成果を見れば、数字は意味をなしていないことはおのずとわかるだろう。 ちなみにマイナーチェンジについては、その内容を見ればわかる通り、市販前から予測できていたことで、それを当初の発売に間に合わせられず、織り込めなかったということだと推測できる。その詳細をここで書き記しておくと、シート下にグラスウールのプロテクターが備えられ、熱対策が取られている。2ストオイルタンクにサブタンクが設けられ400ccの容量アップとなった。また、このオイルタンクやクーラントリザーバータンクの色が黒から若干薄くなり、うっすらだが内容量を確認できるようになっている。さらに出力特性の変更があってCDIも変更している。外観上で違いが判るのが、上バンクのテールエンドが伸びたこと。そして下バンクのサイレンサーが半艶から艶消しアルマイトに変更となり、そのサイレンサー取り付け部のチャンバー側の形状が丸型から角型に変更となってもいる。メーター周りではスピードメーターのレッドゾーン表記がなくなり、警告灯もなくなった。ほかにも、トップブリッジのキーガードが追加となった。さらに細かなところでは、アンダーカウル取り付けステー、ミラーの取り付けねじ、エアクリーナーボックスなども変更を受けている。