伊澤星花×RENAはジョシカクの起爆剤になり得るか 五輪でもプロレスでも際立った女子の躍進
RENAは女子格そのもの
その点で言えば、マット界において一時期は独自の存在感を放っていたが女子格が、最近はパッタリその熱も鎮火してしまったのは、主だった選手の「ライバル物語」を現出できていないのも大きな要因に違いない。さらに言えば、一時期に比べて地位と名声、報酬が付いてこない、という雰囲気があるのだろう。 そうは言っても伊澤―RENAのキラーカードは残されている。 ただし、RENAは女子格そのもの。だからこそ、単にこの一戦をマッチアップするだけではなく、女子格全体の起爆剤にするためにもうひと工夫ほしいところ。 昨年、Netflixでは「極悪女王」が話題を振り撒いたことで、当時のダンプ松本やクラッシュギャルズらにスポットが当たったが、同じくNetflixで公開されている、世界最大のプロレス団体WWEのビンス・マクマホン氏の道程を描いた「悪のオーナー」では、ビジネスのためならなりふり構わない姿勢が随所に描かれていた。 なにせ、モハメッド・アリやマイク・タイソンといったレジェンドプロボクサーから、今や大統領となったドナルド・トランプ氏まで登場し、ビンス氏も一時はWWE王座まで登り詰めたかと思うと、性加害容疑で訴えられた相手との裁判に決着がつくや否や、その女性をリングに上げる破天荒ぶり。まさにそこにはモラルやマナー的なものを逸脱した愛憎劇が繰り広げられつつ、これ以上ない“虚実皮膜”の世界が広がっている。 実際、ビンス氏の愛妻・リンダ・マクマホン氏は前回のトランプ政権下では中小企業局長官を務め、今季の政権下では教育長官に起用されているのだから、政府との強固な結びつきもうかがえる。要は、女性の力がいかんなく登用されているイメージが、彼の国のWWEには存在する。 極論すればビジネスと割り切った無茶苦茶な理屈がリング上で発揮されないと、女子格闘技が再び隆盛を極めることは難しいと思われる。そう考えると、もしかしたら女子格の選手はこだわりが強い選手が多いのかもしれない。 とはいえ、伊澤―RENA、ぱんちゃん、杉山を含め、キャラの立った選手がいることは確認ができているのだから、あとはこれを束ねる方向性が導き出せれば。女子格は可能性を秘めたジャンルだけに巻き返しに期待したい。 なぜなら、これだけどのジャンルでも女子の活躍がクローズアップされているのだ。勝機は必ずある。
“Show”大谷泰顕