現役女子大生が人力車ガイド「俥夫」を始めた理由…仕事の魅力とは、収入は?
【目からウロコ 大人の寺子屋】 高田彩々良さん(順天堂大2年生) ◇ ◇ ◇ シニアのための「お尻」エクササイズ 下半身の老化はお尻の衰えが原因 NHK朝ドラ「虎に翼」の女性弁護士のように、伝統的に男性の仕事だと思われてきた職場で活躍する女性が増えている。浅草観光の名物・人力車の現場でも同じことが起きていた。海外からの観光客に英語で話しかけたり、大通りを駆け抜けたりする人力車ガイド「俥夫」。男性が多いイメージだが、今や若い女性も珍しくない。いったい女性俥夫の実態はどうなっているのか。東京力車に所属する現役女子大生の高田彩々良さんに、男の職場に飛び込んだ理由と、仕事の魅力を聞いた。【全2回/前編】 【Q】人力車の俥夫を始めたきっかけは? 「大学1年の時、ソフトボールの先輩から誘われたんです。その先輩がやっているのを見て、格好いいなと思ってその日のうちに決めました。もともと走るのが好きで体力には自信があったので、絶対できると思っていました」 【Q】最初の印象はどうでしたか? 「最初は自信しかなかったですね。体力勝負だと思っていたので、ただ走ればいいと。でも意外に力だけじゃどうにもならないんです。お客さまを楽しませるためにはガイドの知識も必要だし、気遣いや心遣いも大切。頭を使う仕事でもあるんだなと気づかされました」
【Q】人力俥夫に必要な知識とは?
「やっぱり浅草の歴史や見どころについて詳しくないとだめですね。お寺や神社の由来、有名な建物の物語など、お客さまの質問に答えられるようにしっかり勉強しました。あとは、おすすめの食べ歩きグルメとか、お土産情報とかも押さえておくと喜ばれますね。ガイドブックには載っていないディープな浅草を案内できるのが、人力車の強みだと思います」 【Q】苦労した点は? 「研修中は先輩について走ったり、仲間と乗り合いしたりして道やコースを覚えるんですが、方向音痴な私は道を覚えるのに一苦労。ブレーキも難しかったですね。走りだすと止まれなくて怖い思いもしました。人を乗せて一人前に仕事ができるようになるまで9カ月かかりました。早い人だと1カ月でデビューするのに」 【Q】つらくて辞めたいと思ったことは? 「つらいことはいっぱいありましたが、辞めたいとは思いませんでした。先輩たちが優しく接してくれたし、ここで辞めたら悔いが残ると思った。辞めたら先輩のように格好よくなれないですからね」 【Q】今の収入について教えてください 「お金のことは気にしてなくて、制度もよく分かっていないんですが(笑)。でも、頑張った分だけちゃんともらえる仕組みにはなっています。去年の12月は月収40万円近く稼げました。走るのが楽しくて走っていたら、お金がついてきた感じです。大学を卒業したばかりの会社員より稼いでるって言われてびっくりしました」 【Q】女性俥夫としてここまで活躍できると思っていましたか? 「最初は男性の背中を追いかけるだけだったんです。でも、今では対等に渡り合えるようになりました。稼ぎでは先輩たちを上回ることもありますしね。人力車が女性の活躍の場になるなんて、自分でも思ってもみなかったです。でも、お客さまに喜んでもらえるのは男女関係ないですし、女性ならではの心遣いを生かせる仕事だと思います」 =【後編】につづく (聞き手=いからしひろき) ▽高田彩々良(たかだ・ささら)2004年秋田県生まれ。順天堂大学スポーツ健康科学部2年。高校までソフトボール部に所属。走ることが得意で、人力車の仕事に興味を持つ。2022年4月、ライズアップ東京力車にアルバイトとして入社。現在は浅草の人力俥夫として活躍中。