【ほうれん草】生食厳禁?ほうれん草をサラダで食べたい場合はどうする?管理栄養士が回答
ほうれん草のアクには健康に良くない物質が含まれていると聞きますが、ほうれん草をサラダやスムージーなど生で食べることはしない方がよいのでしょうか。また、生でほうれん草を食べたいときにはどうすればよいのかについてお伝えします。 〈写真〉【ほうれん草】生食厳禁?ほうれん草をサラダで食べたい場合はどうする?管理栄養士が回答 ■ほうれん草はアク抜きが必要? 野菜に含まれる渋みや苦味、えぐみや雑味など、食べたときに不快に感じる部分は、一般的に「アク」と呼ばれます。見た目や食感に影響することもあるため、おいしくまた美しく仕上げたいときには下準備や調理の際にアク抜きをします。アクには健康に効果的に働く成分が含まれる場合もありますが、逆に人体にとって有害な物質を含むこともあるため、成分によっては取り除かなくてもよい場合と、アク取をしなければならない場合とがあります。ほうれん草に含まれるアクの成分は「シュウ酸ナトリウム(シュウ酸)」です。シュウ酸は、カルシウムと結びつきやすく、多量に摂取することで、石のような塊を生成してしまい、尿管結石など健康を害する原因となることがあります。そのため、ほうれん草はアク抜きをしなければなりません。 ■ほうれん草をサラダで食べたい場合はどうする? それでは、ほうれん草をサラダやスムージーなど、生で食べたい場合はどうすればよいのでしょうか。 ■■生で食べられる品種を選ぼう ほうれん草には、生食できる品種も出回っています。アクが少なく葉の柔らかな生食用の品種である赤茎ほうれん草や、主に水耕栽培で育てられ、茎も細い生食用品種のサラダほうれん草を選ぶようにしましょう。 ■■水にさらしてアク抜きをしよう ゆでるのと比べるとシュウ酸の除去量は少なくはなってしまいますが、シュウ酸は水溶性のため、水にさらすだけでもアク抜きはできます。ほうれん草は小さめにカットして水に触れる切り口を多くし、3分ほど水にさらします。食べる頻度も少なく少量であれば、一般的にシュウ酸の摂りすぎにはなりにくいと考えます。 ■■カルシウムを含む食材と一緒に カルシウムを含む食材と一緒にとることで、腸内でカルシウムと結合して便として排泄されやすくなります。逆にカルシウムが不足していると、シュウ酸は血中に吸収されて尿中のカルシウムと結合して尿管結石などの原因になりやすいとされています。そのため、ほうれん草を生で食べたり、アク抜きをしていても多く食べるときには、カルシウムを含む食材を意識的に一緒にとるようにしましょう。カルシウムを含む食材には、牛乳・豆腐・切り干し大根などがあります。 尿管結石は、再発率も低くなく、また、体質にも関係しているといわれています。不安がある場合は、ほうれん草の生食は避け、しっかりとゆでて水さらししてアクを取ってからサラダやスムージーに。頻度や量も減らすようにするとよいですね。 参照: ・「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 ・尿路結石症診療ガイドライン第2版 (urol.or.jp) ライター/大槻万須美 管理栄養士・フードスタイリスト・腸内ケアフードアドバイザー。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。 協力/NS Labo
NS Labo(栄養サポート研究所)