「歯の着色汚れの原因が醤油?」「食後30分は歯をみがかないほうがいいはウソ?」歯科医が教える40代以降が気をつけたいこと
――なるほど! とにかく予防が肝心ですね。では、すでに着色汚れが気になる歯には、どんな対策をしたらいいでしょうか? 「まず、ホームケアでできることは、ステイン(着色汚れ)除去効果のある歯みがき粉を使って歯みがきをすること。美白系の歯みがき粉にはこの効果があると思っていただいて大丈夫です。これらの歯みがき粉やそのほかのホワイトニング系アイテムには、歯の表面の汚れを除去する研磨剤や、歯の表面の汚れが浮きやすくなる薬剤、歯の表面に汚れをつきにくくする薬剤が入っていることが多いです」 ――研磨剤と聞くと、歯が傷ついてしまったり、減ってしまったりするのではと不安になります……。 「並行輸入品などではなく、日本で認可されて販売されているものであれば、それほど気にする必要はありません。基本的には歯みがき粉に含まれる研磨剤の粒子の硬さや大きさは、正しく使用すれば歯を傷つけないように設計されています。薬剤にしても、代表的な『ポリリン酸』など認可されているものは、歯が溶けてしまうといった心配はいりません」
――歯医者さんでの治療は試してみたほうがいいですか? 「歯と歯の間の着色汚れは、フロスなどを使っても自分ではなかなか取りにくいので、そういったものを歯医者さんで落としてもらうのはオススメです。自分で無理に落とそうとすると、歯の表面や歯ぐきを傷つける可能性もありますから。 また、40~50代であれば、だんだんと歯の黄ばみが気になってきたという人も多いかと思います。これは着色汚れ以外にも、歯を覆っている透過性の高いエナメル質が年々薄くなっていき、エナメル質の下にある黄色い象牙質の色が見えるようになることで起こります。
市販のホームケアアイテムでは歯の色そのものを白くするのは無理なので、着色ではなく、黄ばみが気になるのであれば、『医療ホワイトニング』と呼ばれる歯医者さんでの治療にトライしてみるのもいいと思います。 ――歯医者さんで、定期的に保険診療内の歯のクリーニングを行なっているのですが、それでも着色汚れが気になるんですよね……。 「保険診療の範囲内のクリーニングは、『歯周病治療』なんですよ。あくまで歯周病の原因となる歯こう・歯石を取るのが目的のため、審美性向上には向きません。汚れが気になるのであれば医療ホワイトニングまで行かなくても、保険診療外のクリーニングだけでも着色を除去することができ、だいぶ綺麗になると思うので試してみるのもいいかもしれませんね。もっと綺麗にしたいということであれば、医療ホワイトニング、ということになります。
もう一つ、つけ加えておくと、保険診療外のメニューのメリットは、審美的なことに限りません。じつは、医療ホワイトニングにより歯の性質を強化できるという報告もあるため、40代以降の方は検討してみてもいいかなと思います。どんなメニューがいいのか、また、保険診療外のクリーニングと医療ホワイトニングのどちらがいいかは、個々の口腔内の状態によるので、ぜひお近くの歯医者さんに相談してみてください」 加齢により歯が黄色くなってしまうということは、逆を言えば、歯を白く清潔に保っていれば、若々しくいられるということ!
新妻 由衣子