「自分は被害者」「上司が間違ってる!」反抗的な部下、北風と太陽のどっちで対応すべき?
人は、今までの心地よい状態(コンフォートゾーン)を否定されると、居心地の悪さや不快感を抱きます。心理学では「認知的不協和」といいます。 先ほど、ネガティブフィードバックはいったん反発されると述べましたが、厳しいことを言われた部下が、イラッとしたり、ムッとしたり、怪訝な表情をしたりするのは自然なことです。 「これで良い」と思っていた自分の認知と、「それではマズい」という他者(上司)の認知が異なる状態です。 上司としては勇気を出してメッセージを伝えた結果、部下の反発や不機嫌な様子を見ると不安になると思いますが、逆に、そうした反応を示してくれたほうが、「上司のメッセージが相手に伝わった」と思うようにしましょう。 ● 不快な話に抵抗するのは当然 無理に説得しても逆効果 2つめのステップは、「抵抗フェーズ」。 否定の次に来るのが、「抵抗」です。 自分の置かれている状況や変わらなければいけない現実を突きつけられた部下は、理論的には理解しても感情的には納得していません。
特に、「自分はできている」「このやり方でやってきてうまくいっている」など、自分を過大評価している人は、会社の期待に応えられていない現実を目の前にしても、「自分の責任ではない」「自分は被害者だ」「上司が間違っている」と他責的な考え方になります。 この段階で上司が気をつけるのは、無理やり部下を説得しようとしないことです。抵抗しようとしている部下を説得する行為は、『北風と太陽』の北風と同じ。力ずくで部下を抑え込もうとすればするほど、「変わりたくない」という意思が強固になります。 仮に、上司の一方的な説得によって「はい、わかりました」と部下が表面上答えたとしても、行動変容につながらないケースも多くあります。「やっかいな面談を終わらせたい部下が、とりあえず返事した」「腹の底から納得はしていないが、とりあえず上司の言われた通りにすれば失敗しても自分の責任ではないと考えている」可能性もあります。 ● 部下の抵抗はチャンス 傾聴で信頼を勝ち取れ 抵抗フェーズに入ったら、上司は部下の声(意見・不満・怒り・不安)にとことん耳を傾けることです。「耳と心を傾けて聴く」傾聴の姿勢が大変重要です。