「自分は被害者」「上司が間違ってる!」反抗的な部下、北風と太陽のどっちで対応すべき?
フィードバックは、組織全体の雰囲気を左右する重要な要素だ。特に厳しいフィードバックでは部下の心理を理解し、適切に対処することが求められる。部下が納得せず、抵抗してきたとき、優秀なリーダーはどのように振る舞うべきなのか?※本稿は、難波 猛『ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 部下の成長を引き出す! デキる上司のほめ方指南 フィードバックには、ネガティブなものだけでなく、ポジティブなものもあります。 ポジティブなフィードバックとは、「ほめる」、「認める」、「注目する」「感謝する」などです。原則論として、「ネガティブよりポジティブなフィードバックのほうが肯定的で持続的な影響は大きい」点は理解しておきましょう。この記事ではネガティブフィードバックに注目していますが、日常のマネジメントではポジティブなフィードバックを惜しまず提供することをお勧めします。 ネガティブフィードバックには、今やっている(望ましくない)行動を変えていく効果がありますが、ポジティブフィードバックには、逆に、今やっている(望ましい)行動をさらに強化する効果があります。 人にはマズローの5段階欲求でいう「承認欲求」があるため、他者からほめられたり、認められたりすると、その行動をくり返したくなる性質があります。脳科学的な表現をすると、快楽ホルモンである「ドーパミン」が分泌されるので気持ちよくなり、再度欲しくて同じ行動をくり返します。
「ほめて伸ばす」は心理学的にも脳科学的にも意味があります。 「ほめたら部下が調子に乗る」「細かくほめると期末に厳しい評価と矛盾が出るのが怖い」など、部下への承認・賞賛を惜しむ上司がいますが、金銭的報酬だけでなく精神的報酬をしっかり提供することは、現在のようにポストも事業も給与も右肩上がりではない経営環境では重要なマネジメントスキルです。 ● 叱る・ほめるを使い分けて 組織改革を成功させよう もちろん、ただほめればいいという話ではありません。近年、厳しい指導を行うと「パワハラ」扱いになるリスクがあるためか、社員に対し優しく、ほめる言動に偏りがちな会社や上司も見受けられます。 なかには、「本当は期待以下だが、おだててでも働いてもらわないと反発されたら厄介」という本末転倒な理由で心にもない賞賛を口にする上司もいますが、それは「間違った行動を強化し続ける」メッセージにつながる愚策です。 本来、ほめることと、悪い点を指摘することは、車の両輪のようなもの。その両方が正しく、かつバランスよく実践されたときにはじめて、部下の行動変容や組織の風土改革が実現します。