国民健康保険料が高すぎる!その理由と対策を徹底討論!対談 内藤眞弓×笹井恵里子
笹井 会社勤めをしている人は健康保険組合(組合健保)に入っているので、国保が高いということをいくら話しても反応が薄い。定年や退職で会社組織を離れて国保に加入することになって初めて〝自分ごと〟になる人が多い印象があります。本の中にも書きましたが、私の知り合いも退職後に保険料が跳ね上がり、国保の話題に食いつくようになりました。私がメールを1通送ると5通ぐらい返ってきます(笑)。 ―会社の健保組合の健保料もとても高い実感があります。 内藤 とはいっても国民健康保険や中小企業で働いている人が加入する協会けんぽ(全国健康保険協会)に比べて、組合健保は保険料率がとても低いです。応能負担、つまり能力に応じて負担し、必要に応じて利用するという原則が崩れていると思います。 ♢サラリーマンも人ごとではない!退職後に3つの選択肢を比較 ―笹井さんの話に戻ると、年間88万円の保険料は払われたのですか。 笹井 当時は娘が高校生で教育費もかかりますし、10回払いで月約8万8000円の保険料はとても払えないと思い、所得によって保険料が変わらない職業別の国保組合に加入しました。 国保には業種ごとに組織される国民健康保険組合があるのです。薬剤師や芸能人などの組合もあります。私の場合は「文芸美術国民健康保険組合」(文美国保)に加入して、年88万円だった保険料が年度途中から44万円にまで下がりました。しかし、これも3年前に比べて24年度は12万円も上がり、同条件で年間56万円になりました。国保料は年々アップしています。 ―なるほど。そうした組合に入るということも保険料負担を軽くする手ですね。 笹井 ただ、文美国保に加入するには組合の加盟団体の会員になる必要があり、その条件として著書を出版しているほか、理事や正会員の推薦状を書いてもらうなど、かなりの難関でした。他団体の国保組合も加入要件は厳しいと聞いています。 ―そうなのですね。ところで会社員は退職後、2年間は継続してそれまでの会社の健康保険に引き続き加入することができる「任意継続被保険者制度」がありますよね。在職中は労働者と使用者(事業主)が労使折半で負担しますが、退職後の任意継続では全額自己負担となるので、定年退職者は国保より任意継続被保険者を選んだほうが有利、と聞いたことがあります。