やみつきになる「絶望のスパゲッティ」のホームズパスタ チェーン化を進める真相
人口が減少に向かう今、あらゆる分野で課題となっているのが事業承継だ。 外食産業においても例に漏れずで、日本政策金融公庫総合研究所のデータによると、全国の中小企業のうち飲食サービス業においては、後継者が決定している企業が10.7%、未定が17.3%、廃業予定企業が53.2%に上る(2023年中小企業の事業承継に関するインターネット調査)。 【写真】スープスパゲッティの名店ホームズパスタ看板メニューの「絶望のスパゲッティ」 個人店の廃業はもちろん常連客にとって淋しいことだが、それだけでなく、個性ある個人店が減少していくことで、日本の飲食店文化の豊かさや多様さが失われてしまうのではという危機感もある。
■1986年創業以来、愛されてきた名店 ただこうした課題に対し、近年、M&Aや提携など企業と手を結んでの事業承継という1つのトレンドが生まれつつあるようだ。 渋谷に1986年創業以来、愛されてきたスープスパゲッティの名店「ホームズパスタ」もその1つである。 看板メニューは「絶望のスパゲッティ」。自家製のミートソースに生クリーム、オリーブを加え、ニンニクと唐辛子でパンチをきかせた濃厚スープソースにキノコベーコンソテーをトッピングした一品。
ほかではなかなか食べられない、やみつきになる味のようで、深めの皿の縁ギリギリまで盛られたインパクトあるビジュアルも相まって、長年、常連客に足を運ばせてきた。 ■職人気質のオーナーシェフがFC化を進める理由 そのホームズパスタが、2022年より飲食店運営やコンサルティング、リブランディング等を事業とする東京レストランツファクトリーと業務提携し、ブランド展開を委ねることで、チェーン化を進めている。もともとのオーナーが出店した渋谷本店、新宿店に加えて、東急プラザ渋谷内、アトレ品川内、池袋、成増、新潟・長岡と全7店舗を展開。うち、東京レストランツファクトリー直営店が2店舗、加盟店オーナーによるFC店は3店舗だ。
東京レストランツファクトリーは2003年創業。六本木の会員制バーをはじめとする高級店舗を多店舗展開し、成長してきた。展開ブランドには「鳥幸」「きよやす邸」などがある。 これらのブランドとホームズパスタを比べると、雰囲気、価格帯もかなり異なっているが、なぜホームズパスタと手を結ぶことになったのだろうか。狙いについて、東京レストランツファクトリーFC事業部事業推進部長の川俣雄二氏は次のように説明する。