新型フリードに乗ったらシートもラゲッジも格段に進化! 価値は室内空間にアリ!!
3列目シートが軽く跳ね上げやすくなった
新型フリードは大雑把にいえばボディサイズをほとんど変えていないといえるけれど、このサイズだからこそシビアに注目したい方もいるのではないか。エアーの全長4310mm×全幅1695mm×全高1755mmは先代に対し全長+45mm、全高-105mm。全長は最新のe-HEVシステムを搭載するためにおもにタイヤより前が延長され、車幅はデザインを際立たせるために少しだけ広がった。クロスターはクロスオーバースタイルをさらに際立たせるために、ホイールアーチガーニッシュ=プロテクターを新たに装備。全幅は+25ミリの拡大。 ちなみに全高はエアーと同等としながら、室内のフラットな空間を演出する荷室のダブルダウンフォールドや二段分割のラゲッジがクロスターの特徴だ。 一方で全高はアンテナが小ぶりになり、余裕で1800mmを下まわる高さになった。つまり居住スペースに増減はないけれど、新型では2列目のスペースが+30mm、3列目の室内幅も+65mmと拡大。最新であることはもちろん、“細心”のこだわりがこの空間には詰まっているといえるだろう。ちなみに2列シート仕様はクロスターのみの設定。またエアー/クロスターともに3列シート仕様では2列目にベンチシートタイプ(7人乗り)のほか、キャプテンシート仕様(6人乗り)も選べる。 シートは座り心地、ホールド性、さらにアレンジ性にも磨きがかかる。まずフロントシートにはシビックやアコードにも採用されている「ボディスタビライジングシート」を採用。これは骨盤をしっかり支え疲れにくくてズレにくい。さらに座面のクッションにも工夫があり小柄な方がシート高を上げても足が床やペダルにつきやすいよう座面の先端形状を工夫されている。さらに背もたれのショルダー部分をシートの性能を落とさずわずかに削られている。これは2列目シートにお子さんが乗った際、スライドを最前位置までフロントシートに寄せお子さんのケアを行う際の操作性を向上させること、さらに2列目に座るお子さんが運転席に座るママやパパの姿を認識しやすくなり安心感を増す効果もある。姿が見えず不安になって泣き出すお子さんも意外と多いらしいのだ。 2列目シートはシートサイズこそアレンジの関係で大きくはできなかったそうだが、ウレタンの密度を見直し、シートを薄くすることなく快適性とサポート性を向上させている。体がシートに密着しやすく、先端を若干持ち上げ(キャプテンシート)小柄な人も足がつき、大柄な人でもモモの裏のフィット感が増している。 一新された3列目シートの注目点は2つ。一つは3列目シートがエマージェンシーシート扱いではないところ。座面のサイズも足下(2列目をちょうどいい感じに調整)/頭上のクリアランスも申し分なくこのボディサイズにしてこれだけの開放感が得られるのかと驚いた。 もう一つは3列目シートを左右に跳ね上げてラゲッジスペースに使う場合のアレンジの簡単さだ。シートは1座あたり1.3kg軽くなっているそうだが、それ以上に効果的なのが持ち上げるときの支点の位置を少し高くしたことで、持ち上げる操作が軽く簡単になったのだ。お世辞抜きでヒョイヒョイッと行える。またシートを左右にキッチリ&スッキリと固定できた結果、ラゲッジ幅が160mm拡大。スクエアな空間が上下/左右で生まれている。ちなみに2列目がキャプテンシートの場合、27インチの自転車が収まるそうだ。フロアも低くて積み下ろしもしやすそう。 じつは今回、パッケージング開発担当のプロジェクトリーダー(PL)を初めて起用したそうで、しかも女性だった。おかげでさまざまなところが磨かれた新型フリードのこの女性PLを中心にシートの快適性、形状や操作性が大きく見直されているのだ。 先代のボディサイズをほぼ踏襲する一方で室内空間は使いやすさを極めた新型フリード。これに最新の動的性能や乗り心地、ホンダセンシング=安全性能の進化も相まってホンダの人気者コンパクトミニバンの実力に磨きがかかったといっても過言ではない。
飯田裕子