激安車20台以上を乗り継いだドラゴン山崎流中古車チェック術は前オーナーのプロファイリングにあり!【フィアット500PINK!オーナーレポート vol.2】
名探偵になりきり気分でクルマに残された痕跡からプロファイリングすると前オーナーの性別、年齢、生活様式、クルマの使い方などが浮かび上がる
エクステリアの確認が終わったところで今度はエンジンルームやインテリアのチェックだ。特にインテリアは補修が難しく、修理には相応の手間とコストがかかる。そのため、中古車として商品化される際もルームクリーニング以外の補修はスルーされることが多く、そんなことから前オーナーの使い方を雄弁に語るポイントでもある。それ故に車内をつぶさに観察することで、前オーナーの姿が見えてくることもあるのだ。 インテリアを中心にクルマに残された痕跡からプロファイリングを行い、車種やグレード、外装色、メンテナンスノートなどと合わせて考察(最近では個人情報保護の観点から破棄されることも多い)することで、前オーナーの性別、年齢、生活様式、クルマの使い方、コンディションなどがある程度予想できるのだ。これは中古車選びをする際にクルマの良し悪しを見抜く大きな手がかりとなる。 以前、弟がクライスラー・イプシロンの中古車を購入する際に「一緒にクルマを見てほしい」というので現車確認を手伝ったことがある。その際にワンオーナー車だというイプシロンのインテリアをチェックすると、リアドアのトリムに擦り傷が何ヶ所かあり、助手席の座面にタバコの焦げ跡が1箇所あるのを見つけた。外装はボディに凹みや目立つキズはなかったが、ホイールは4本ともキズだらけだ。これらの痕跡から直感的に「前オーナーは女性だ」と判断した。さらに車両をチェックして、クルマに残された前オーナーの痕跡を探す。すると、それらの手掛かりから彼女の姿がおぼろげに浮かび上がってきた。 「前オーナーは女性。年齢は30代後半~40代後半で、専業主婦か仕事をしていても在宅ワーク。生活レベルは中の上から上の下。小型犬を飼っているが、クルマにペットを乗せる頻度はあまり多くはない。住居は郊外の戸建て。配偶者は喫煙者で都心の大企業に務めるビジネスマン」とプロファイリングしてみた。すると店員は「なんでわかったんですか? このクルマは下取りで入ってきたのですが、ほぼ当たっています。もちろん個人情報に関することなので詳細はお伝えできませんが……」と目を丸くしていた。 タネ明かしはこうだ。ドアトリムに残る複数の線傷は動物が爪で引っ掻いた際にできたもので、そのサイズから小型犬であることがすぐにわかった。だが、傷の数はけっして多くはなく、車内にペットの匂いや抜け毛がなかったことから犬を乗せた頻度はそう多くはない。せいぜい動物病院に愛犬を連れて行くときに乗せることがある程度といったところか。助手席に残るタバコの焦げ跡はパッセンジャーが喫煙者だった証でもある。ほかにタバコを吸った痕跡は見られず、前オーナー自身はタバコを嗜まないか、少なくとも車内で吸うことはないのだろう。そんな前オーナーが他者に車内での喫煙を許すとすれば、生活をともにする家族ないしは深い関係にある異性だろう。前オーナーが女性だとすれば、焦げ跡がついたシチュエーションは概ね想像がつく。おそらくはバスの営業が終わった時間に帰宅した夫(たぶん酔っていた)を駅まで迎えに行った際につけられたものだと推理する。となると、駅から自宅までは徒歩での移動が困難な距離があると考えるのが自然で、住まいは駅チカのタワーマンションなどではなく、郊外の住宅街と考えれば合点が行く。 さらに、イプシロンという車種にも読み解くヒントがあった。姉妹車のフィアット500なら指名買いということもありえるが、マイナー車のイプシロンを積極的に選ぼうという女性はそうはいない。とすると、夫のファーストカーはクライスラー店で買った新車のジープか300Cあたりで、高価なアメ車を買えるということで、それなりに裕福な家庭であったはずだ。そして、どちらも集合住宅の立体駐車場に停めるには大きすぎる。おそらくは複数の所有車を駐車できる一戸建てに住んでいるのだろう。また、ホイールのガリキズの多さから考えて、前オーナーはあまり運転が上手くはないハッキリしている。おそらくは大きなアメ車を運転させるのに不安を感じた夫が、アシとして奥さんにコンパクトカーを買い与えたのだろう。 増車するタイミングで、折よく販売不振のイプシロンが叩き売り(導入からしばらくして全国のクライスラー店では、自社登録した未使用のイプシロンを新車の半値ほどで売り捌いていたことがある)されていることを担当営業マンから聞かされた夫は、ファーストカーで付き合いのあるディーラーだし、ESPや6エアバッグなどの安全装備も充実しているイプシロンが軽自動車並の価格で買えるのだから悪くない選択だ、と考えてこのクルマを選んだのではないか。そのように考えて行くとすべての辻褄が合う。 このように前オーナーのプロファイリングができれば、そこから中古車の使用状況からクルマの良し悪しを占うことができる。プロファイリングに必要なものはクルマの知識よりも観察力とちょっとした想像力だ。正しく推理できれば中古車選びの大きな武器にもなる。
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